「すし」が国会で注目されている。高級すし店「久兵衛」の名が連呼されている。安倍首相の2月12日の答弁をみてみよう。

《私の前日の夕食会について、黒岩委員が野党の追及チームの中で「すし屋の久兵衛のおすしが出たりとか、もう1皿5000円の世界ですね。こういったことが行われているんです」とおっしゃった。久兵衛にもずいぶん問い合わせが来て、大変な迷惑であったと久兵衛の方も大変怒って述べていた。これはまさに流言の流布に当たるんだろうと。》(毎日新聞WEB2月12日)

「人間としてどうなのかな」

 これだけではない。2月4日の衆院予算委では首相は約20分間で、「久兵衛」を6回連呼していたのである(朝日新聞2月6日)。

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2月4日、衆院予算委員会で答弁する安倍晋三首相 ©︎時事通信社

 立憲民主党の黒岩宇洋氏からの追及に対し、首相は「5千円の中には(高級な)『久兵衛』のすしはもちろん入っていない」、「秘書官に怒鳴るというのは、人間としてどうなのかな、と思うわけです」などと応戦した(朝日新聞デジタル2月4日)。

 いったい何が起きているのか。

「首相とすし」は6年前からのネタ

 私は「首相とすし」について6年前から読み比べをしている。そう、これは最近のネタではないのである。

 当コラムで昨年11月に書いたものをまとめてみる。

・2014年4月23日、来日したアメリカのオバマ大統領(当時)と安倍首相は「すきやばし次郎」で夕食。

・しかしオバマは夕食会の前にホテルで「銀座久兵衛」の出前もとったという報道があった。

 このあと「銀座久兵衛」の証言として、

「オバマ大統領が来日してホテルオークラに到着するや出前を頼まれ配達した。料金は1万6千円」

「ここだけの話ですが、ウチにも貸切の打診は数か月前にありました」

 と放送していた番組があった(TBS「アッコにおまかせ!」)。

※写真はイメージ 「銀座久兵衛」の太巻き寿司 ©︎文藝春秋

 さらに「ウチのすしを先に食べたから、そのあと「すきやばし次郎」のすしを半分残されたのではないか」というコメントもしていた。久兵衛のプライドを感じたのだ。

 こうなると次の説が浮かんだ。夕食会はオバマの希望で「すきやばし次郎」になったが、「久兵衛」に配慮した誰かがホテルのオバマへ出前を頼んだのでは? という。

 この時点ではあくまで楽しい「すしミステリー」だったが、一気にざわついたのは7カ月後の2014年11月だ。