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情報が劇的に動いた「11月15日」

 さて、「2019年11月15日」について興味深いことを書いていたのは「週刊文春」である。昨年11月21日発売号の記事(「安倍晋三『桜を見る会』『虚偽答弁』を許すな」)を引用しよう。

 官邸関係者の話として《安倍事務所は十一月十五日の金曜日、オータニの広報部長ら二人を議員会館の安倍事務所に呼び出して話し合いの場を持ったのです。》という証言を載せていた。

 続きを読もう。

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《そこで『会費五千円』ということが厳重に“確認”され、その後、普段は滅多に官邸に来ない安倍首相の政策秘書・初村滝一郎氏が官邸を訪れた。話し合いの結果を伝えに来たのでしょう。同日夕方、安倍首相は昼に続いてぶら下がり会見に応じ、二十分強にわたって質問に答えるという異例の対応をとりました》

©iStock.com

 文春報道によれば、昨年「11月15日」は安倍事務所にとっていろいろ動いた日だということがわかる。首相が桜を見る会についてぶら下がり会見をしたのもあの日の夕方だ。産経ニュースが「銀座久兵衛」の否定コメントを出したのは「11月15日の夜」であった。この日は情報が劇的に動いた日であることがわかる。

 私が文春オンラインで首相とすしの読み比べを公開したのは昨年11月22日。そのあと私が出演した「サンデーステーション」のコーナーでも扱った。

 スタッフが「ニューオータニ」関係者に取材すると、

「一般論として宴会でニューオータニ内の久兵衛以外のすしを提供することは基本的に認めていない」というコメントだった(11月24日放送)。

 この「一般論として」という言葉、今度は別のニュースで目にすることになる。

「一般論として」は明細書も……

「『桜を見る会』懇親会ホテル 明細書は7年間保管 再発行可能」(NHK政治マガジン12月10日)

 ここでホテルニューオータニの宴会担当者が《一般論として会合などの明細書や領収書は7年間保管しており、主催者から要請があれば再発行は可能だ》と述べたのである。すしと同じことを言った。

※写真はイメージ ©iStock.com

 つまりニューオータニでおこなうパーティーでは「一般論として」は明細書も久兵衛のすしも出てくるらしい。しかし首相の前夜祭だけはこの一般論は適用しなかったことになる。

 ではあのすしは誰が握っていたのか。これはもう「すしミステリー」として楽しむどころか、かなり重要に思えてきた。

 そう考えると産経に答えた「銀座久兵衛」の「うちの寿司は出していない。過去何年も調べたが、出ていなかった」というコメントにもう一度注目したくなる。

 ここで言う「うちの寿司は出していない」とは、「銀座久兵衛」だけでなくホテルニューオータニにある店舗もふくめた意味なのか。それとも「銀座久兵衛」だけのことなのか。

 そう、言葉のとり方によって意味がまったくちがってくるのである。よく読むと大事な部分がボンヤリしていることがわかる。

 各紙はもう一度よく調べたほうがよい。「銀座久兵衛」も一紙だけでなく他の媒体にも答えたほうがいい。お互いすっきりするはずだ。首相も前夜祭の明細書を出したほうがいい。心から野党をうそつきと叫べるチャンスなのである。

 もう一度言う。

 あのすしは誰が握ったのか。