「恐怖で寒気がする」

 法廷内で読まれた被害者の供述調書。強制わいせつ致傷などの罪に問われた男が事件現場となった被害者の女性マンションを特定した手口が法廷で明かされると、傍聴した人たち全員が被害者と同じ恐怖感を共有した。

 2月18日、アイドル活動をする20代の女性のマンションに侵入し、わいせつな行為をしたとして、住居侵入と強制わいせつ致傷の罪に問われた無職、佐藤響被告(27)の裁判員裁判の初公判が、東京地裁で開かれた。

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東京地裁 ©AFLO

SNS写真の瞳に映る景色で駅の形状、線路の本数を把握

「SNSに投稿された女性の顔写真の瞳に映る景色を手掛かりに、マンションを特定した」としてネット上でも騒がれた佐藤被告。「間違いない」と起訴内容を認めた彼の手口はこうだ。

 検察側の冒頭陳述などによると、佐藤被告はネット上で、女性の目撃情報を探し、女性の自宅がある地下鉄路線にあたりをつけた。次に、女性のツイッターを確認する。アイドル活動のため、頻繁に写真などを投稿していた女性。その中に最寄り駅での自撮り画像があった。その瞳に映る景色で屋根など駅の形状、線路の本数、背後の看板を把握。グーグルの「ストリートビュー」を使って候補の路線の駅周辺を探していく中で、被害女性の最寄り駅を見つけたという。

写真はイメージ。本文とは関係ありません ©iStock

 そして、佐藤被告は「リアル」な行動に打って出た。ネット上のさまざまな情報を集めて発見した最寄り駅で待ち伏せし、現れた女性の後をつけて自宅マンションを特定したのだ。女性は自宅で動画配信をしていたため、動画の背景から部屋のある階を特定。さらに、この日も女性は自宅で動画を生配信しており、佐藤被告はこの階の全ての部屋のチャイムを押していった。