上皇職に侍従職とほぼ同等の60人台規模の人員が
天皇陛下の即位後を振り返ると、天皇・皇后両陛下は即位当日の昨年5月1日、吹上仙洞御所を訪れ、上皇・上皇后両陛下に即位の挨拶をされている。10月18日にも吹上仙洞御所を訪れ、神嘗祭を無事終えたことに伴うご挨拶を行っている。
また、12月9日にも、お二人で吹上仙洞御所に足を運ばれ、雅子皇后の誕生日に伴う挨拶をされた。今年の元日には皇居・宮殿で新年祝賀が行われ、天皇・皇后両陛下は他の皇族方や三権の長、認証官、各国の外交使節団の長らから挨拶を受けられたが、その後、お二人で上皇・上皇后両陛下のもとを訪れられている。
「儒教の影響が色濃い日本には、年長者と年少者の秩序を説いた孟子の『長幼の序』の考えが根強く定着しているので、息子である今上天皇が先帝にご足労を願うということに、違和感を覚える人も多いでしょう。ですが、そこにこそ二重権威が生まれてしまう危険性が潜んでいるのです。上皇・上皇后両陛下を邪険に扱えと申し上げているわけではないのです。二重権威を生じさせないために、天皇陛下が皇室の頂点にあるという事実には一点の曇りもないよう、明確な線引きが必要だと申し上げているのです。
たとえお父上である上皇陛下であっても、必要があるのであれば参内して、天皇陛下から『わざわざご足労頂き申し訳ありません』と心のこもった労いのお言葉を頂くお立場であるべきなのです。ご高齢で外出に支障があるのであれば、参内なさらなければいいだけのことです。天皇陛下が足を運ばれるのは、やはり少し違うのではないでしょうか」(同前)
以前にも指摘したように、政府は二重権威を生じさせないと言いながらも、上皇陛下の予算に皇族費ではなく、天皇家と同じ内廷費を充当。公務の一線から完全に身を引かれた上皇陛下を支える上皇職に、天皇陛下を支える70人台規模の侍従職とほぼ同等の60人台規模の人員を用意した。