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「週刊文春」8月10日号 最新レビュー

2017/08/05

「新聞不信」が褒めた毎日新聞の記事とは

「新聞不信」はタイトルが示すように、毎週毎週、新聞を批判しているのだが、先週号は少し違った。

「相模原事件報道に欠けた視点」と題して、昨年7月に起きた、知的障害者福祉施設で19人が殺害された事件について、1年が経つ先月に新聞が組んだ特集記事を論評する。この回の末尾につく署名は「(翼)」。氏は、私の記憶が確かならば前世紀からこの欄で書いている。

 そのなかで、(翼)氏は毎日新聞の「父と子40年 宝の絆」(7月23日号掲載)を取り上げ、こう評する。

《「父と子40年 宝の絆」と題して、被害者家族として唯一実名と顔を出し各社の取材に応じている父親の思いを一面に加え、四面で克明にレポートしている。幸い息子(44)は何とか手術で回復。記事は、事件だけでなく血縁のない父子の葛藤まで描いており、まさに出色のノンフィクションといえる。》

 大絶賛である。

いつもは厳しい名物コラム(「週刊文春」8月10日号より)

生の姿をざっくり切り取って読者に提供する

 なお今週の文春のリレー書評は立花隆の担当で、この事件を取材した朝日新聞取材班『妄信 相模原障害者殺傷事件』(朝日新聞出版刊)を紹介。大事件だというのに、被害者本人ならびに家族が公表したがらないため、犠牲者の名前すら十分に知られていないと述べたうえで、「日本の社会はいつのまにか重度の心身障害者は施設に入れて一般の人の目に触れさせないように(あたかもこの世に存在しないかのように)してしまった」と続ける。

 この社会が記者の前に立ちはだかったのだろう。50人もの記者を投入した朝日新聞の取材をまとめた書籍は二読三読に値するものではあるが、「それでもこの程度のものしかできなかったのか、という嘆きの対象でもある」と立花は評する。

 そのような中にあっての、毎日新聞「父と子40年 宝の絆」である。

 野球であれ事件であれ、《大汗をかいて生の人間にぶつかって本音を聞き出し、生の姿をざっくり切り取って読者に提供する。》これが記者の役割なのだと、あらためて思うきっかけとなる先週と今週の「新聞不信」欄であった。

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