〈2006年の時点で、仏雑誌のインタビューで、私はこう答えました。
「平和にとって米国の方がイランより危険だ」
「イランに対する認識としては、“過激なアフマディネジャドが大統領の国”というより、“出生率が低下し、社会として近代化のプロセスを歩んでいる国”と捉えた方がいい」
「イランが核保有しても問題はなく、むしろ中東の安定にとって望ましい」〉
サウジよりもイランの方が欧米社会に近い
「イランが、スンニ派ではなくシーア派国家であることも重要なポイントだ」とトッド氏は指摘する。
〈シーア派の特徴として、「国家を組織する力」「相対的に高い女性の地位」「討論や議論の伝統」「世界は変革しなければならないという思想」という4点を指摘できるでしょう。こうした特徴ゆえに、シーア派は、スンニ派よりもダイナミックな社会で、社会の発展により適していると言えるのです〉
つまり、トッド氏によれば、スンニ派よりもシーア派の方が「欧米社会に近い」。それゆえに「イラン(シーア派)を危険視し、サウジアラビア(スンニ派)と“同盟”を組む」という米国の中東政策は根本的に間違っていることになる。
〈仮に私が米国の外交アドバイザーだとすれば、「現在の中東政策を根本から考え直し、まずはサウジの崩壊に備えるべきだ」と、続いて「米国にとってリーズナブルな唯一の選択肢は、中東の真の大国イランとの友好関係だ」と提案するでしょう〉
〈サウジの国家崩壊のプロセスは、すでに始まっています。(略)はるか昔に経験したイランに比べてごく最近になって「出生率の低下」を経験しているサウジは、今後、必ず「移行期危機」に直面します。その非民主的で、全体主義的な体制は、一見、強固に安定しているように見えますが、社会の深層では、大きな地殻変動が起きているのです〉
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ソ連崩壊、リーマンショック、ユーロ危機、トランプ当選、英国EU離脱、「アラブの春」を予言してきたトッド氏。今回、新たに「イランの民主化」と「サウジの崩壊」を予言した「イランの『核保有』は日本と同じく問題ない」の全文は、「文藝春秋」3月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
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イランの「核保有」は日本と同じく問題ない
【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作全文掲載 古川真人「背高泡立草」/<特集>医療を歪める「ニセ科学」本庶佑ほか/石破茂「安倍総理よ」
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