新型コロナウイルスは南極を除く全ての大陸、約60か国に広がり、感染者数は世界で8万8000人を超えた(3月2日時点)。日本国内でもすでに260人の感染が確認されているが、日々増え続ける感染者数に対し、「日本政府は危機意識が低く、初期対応を誤ったのでは」と、国内から批判の声が上がっている。

「東京オリンピック中止」の可能性もささやかれるなか、日本の“新型コロナウイルス対策”に、海外からも注目が集まっている。それでは、海外メディアは日本の一連の対応をどう報じているのだろうか。各メディアの反応を見てみよう。

安倍首相の“危機感のなさ”が見えた?

 新型コロナウイルスに対する日本の対応として、海外でも集中的に報じられてきたのは「ダイヤモンド・プリンセス号」についてである。3月1日には、同船から全ての乗員乗客が下船したが、未だ事態は予断を許さない。

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横浜港に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号 ©AFLO

 既に日本人以外の乗客にも死者が出ており、2月28日には英国人の男性が、3月1日にはオーストラリア人の男性が亡くなった。彼らは各国において、新型コロナウイルスによる「初の死者」となった。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、ダイヤモンド・プリンセス号での検疫には「ロードマップが欠如していた」とし、初期段階でマスク着用が徹底されていなかったことなど、現場での対応の不備を指摘。一方で、日本政府についても次のように批判した。

「日本人で新型コロナウイルスによる最初の死者が出た翌日(※2月14日)、安倍首相はタスクフォースの会議(※新型コロナウイルス感染症対策本部での会議)に8分間出席し、その後3時間、日本経済新聞会長らとの夕食を楽しんだ」

「電車の衝突事故を目撃しているようなものだ」

 ワシントン・ポスト紙は、「新型コロナウイルスに対する日本政府の対応は、スローモーションで起こりつつある電車の衝突事故を目撃しているようなものだ」と、独特な表現で厳しく非難。「決断を下さなければならないときに、安倍首相はためらった」と見る同紙は、その原因として、「4月に控える習近平国家主席の来日が、安倍内閣の対応に影響を及ぼした可能性がある」と指摘している。

安倍晋三首相と習近平国家主席 ©AFLO

 他にも、「日本は中国との関係性を重視しすぎたあまり、感染拡大を防ぐための初期対応に失敗した」と分析している海外メディアは多い。実際に、アメリカ、オーストラリア、シンガポールといった国々は、中国本土からの中国人の入国を、既に1か月以上も制限している。しかし日本は、武漢を含む一部の地域に限っては入国規制を設けているものの、中国本土からの全面的な制限には今も至っていない。