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Dさん(21歳・飲食)の場合

 とにかく、雰囲気が最悪のお店でした。店長と本部の課長が毎日のようにもめていて、怒鳴り声が聞こえてくる。なにかミスをしたとき、怒られるのは仕方がないとは思うのですが、必ず、見せしめのように外から見えるところで叱りつけ、侮蔑めいた言葉をぶつけられる。何より仕事とはまったく関係のない家族のことを持ち出されて責められるのは本当につらいものでした。

『明日から会社に行かなくていい 退職代行マニュアル』(扶桑社)

 また仕事中、急にくすぐってくるなどセクハラめいたこともたびたびありましたし、障がいのあるお客様を、閉店後、みんなで笑いものにしていたのも許せませんでした。

「辞めてやる!」と決意はしたものの、職場は慢性的に人手不足。半年前に辞めた先輩が、いまだにヘルプとして出勤させられている状態でした。先輩が何を理由に働かされているのかわかりませんが、店長はとにかく口がうまくて、丸め込んでくるタイプ。まともに辞めたいと言っても、絶対に聞いてはもらえない。先輩の二の舞になるのだけは勘弁!と思ったのです。

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嫌がらせをして追い詰める会社

©扶桑社

 脅迫以外の嫌がらせもあ ります。こちらも非常に悪質です。「人手不足なので辞めないでください」と丁寧にお願いするのならまだしも、嫌がらせを続けて退職を躊躇させるという最悪のパターンです。

 たとえば、退職を願い出た従業員Eさんと仲のよかった同僚に、EさんとのLINEのやりとりを見せるよう、上司が強要したというケースがありました。Eさんが退職に関してどう考えているのかを調べようとしたのでしょう。直接的な引きとめではありませんが、Eさんにしてみたら、会社に残る同僚にいろいろなかたちで迷惑がかかるかもしれないと心配になります。結果、Eさんはなかなか辞めることができませんでした。