「あの“事件”が一つの大きなターニングポイントとなって、天皇・皇后両陛下のご訪英に何か悪い影響が出るのではないかと心配しております」
こう声を潜めるのは、ある宮内庁関係者だ。
「俺の国にお前のコロナウイルスはいらない」と留学生を暴行
事件とは、英国で現地時間2月24日午後9時15分ごろに起きたとされる集団暴行を意味する。中国が震源とされる新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響で、ロンドンに留学している23歳の中国系シンガポール人男性が、人種を理由に地元の若い男らに集団で暴行されて顔面に重傷を負ったというもの。
5月初めからの英国ご訪問はどうなるのか?
米CNNニュースによると、男らは「俺の国にお前のコロナウイルスはいらない」と言い放ったといい、ロンドン警視庁が捜査に乗り出しているという。
「天皇・皇后両陛下は陛下の即位後初の外国訪問先として、5月初めから1週間程度の日程を軸に英国を訪問される予定です。ロンドン郊外にあるウィンザー城に滞在し、歓迎式典やエリザベス女王との会見、女王主催の晩餐会などに臨むほか、ジョンソン首相やロンドン市長と懇談される方向となっています。
ですが、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長はスイスのジュネーヴで3月2日に行った記者会見で、新型コロナウイルスについて日本、韓国、イタリア、イランの4カ国が『最大の懸念』との認識を示しています。
英国でも感染者が急増し国全体がナーバスに
加えて英国では、3月4日から感染者が急増し、3月5日には初の死者も確認されるなど国内全体がナーバスになってきています。両陛下はともかくとして、供奉(ぐぶ)員や随従員として訪英する宮内庁職員や外務省職員、皇宮護衛官、随行記者団など“4大懸念国”の一つから大挙して訪れる日本人に向けられるロンドン市民の視線とは、どういったものになるのか懸念があるのは当然です。感染拡大の行方が見通せない中、日英両国政府は慎重な判断を求められることになるでしょう」(前出・宮内庁関係者)