「政府」「自民党」「厚労省」も同じことを言っていた
ではここで読み比べの深掘りをしてみる。
「特別措置法改正」の狙いは「総理主導で進んでいるとアピールしたい」と番組でコメントをしたら政府ツイッターに反論されたというが、実はこれ、新聞記事ではいくつも出ていた論評であり解釈だった。別に政治アナリストだけではないのだ。
ではこのような論評が成り立つことを誰が言っていたのか?
驚くなかれ、実は「政府」「自民党」「厚労省」なのである。引用する。
《政府・自民党内には「現行の特措法でも適用できる」「特措法を使うほどの非常事態ではない」との声もあるが、厚労省関係者は「官邸が法改正したいというので仕方ない」と話す。》(毎日新聞3月5日)
となれば当然こういう論評も出る。
《野党を引き込む「道具」として、官邸主導で法改正を持ち出したようだ。法案審議で野党の協力が得られれば、政権批判が緩むことも期待でき、成立すれば「ウイルスと闘う」(首相)姿勢のアピールにもなる。》(毎日・同)
自民党中堅も「首相が『これをやりました』と言いたいためのもの」
まだある。
旧民主党政権で成立した特措法には対象疾病として「新感染症」も規定されていた。これではなぜダメなのか。以前から言われていたことである。するとこんな「証言」が。
《与党内からは「いまさら適用するとは言えない。『なぜもっと早く適用しなかったのか』と批判される」(公明党ベテラン)との声も漏れる。》(朝日3月5日)
こういう証言があるから、次の見立ても出てくる。
《首相が野党党首に直接、法改正への協力を求めたのは、政権批判をかわす狙いもある。》
《特措法の改正後、政府は緊急事態を宣言することも視野に入れる。私権制限を含む対応を国民に求めても、野党の協力を得た法律となれば批判を分散できると見ている。》
上の2つは朝日の論評(5日)だが、こちらも読んでいただきたい。
《公明党幹部は「実態よりも対策のアピールがねらいだろう」。自民党中堅も「首相が『これをやりました』と言いたいためのもの」と話す。》(朝日3月5日)
いかがだろうか。新聞がする前に与党から「論評」されていたのだ。