「100日後に死ぬワニ」が話題だが、あれが「この1、2週間で死ぬワニ」と言い続けていたら微妙だったはずだ。期限が曖昧だからだ。
政府が出した「この1、2週間が瀬戸際」というコロナ対策も、言う人によってスタートの日付が違うので曖昧。そもそも2月24日の専門家会議の会見で尾身茂副座長は「3週ではないのかと言われれば3週かもしれないけど」と説明していた。これならワニの寿命も伸ばしていいのかもしれない。
「総理主導で進んでいるとアピールしたい」に反論
さてそんな情報発信に注目していたら不穏な記事があった。
「番組での論評に反論投稿 内閣官房公式ツイッター」(朝日新聞3月7日)である。
何があったかといえば、5日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)で「特別措置法改正」にこだわった政府の狙いについて、
《後手に回った対応への批判を払拭しようと「総理主導で進んでいるとアピールしたい」とする政治アナリストのコメントを紹介した。》
すると、内閣官房国際感染症対策調整室の公式ツイッターがわざわざ「法律改正をする理由はそうではありません。あらゆる事態に備えて打てる手は全て打つという考え」と投稿し、コメント内容を否定したのである。
【#新型コロナウイルス】
— 内閣官房国際感染症対策調整室 (@Kanboukansen) March 5, 2020
法律改正をする理由はそうではありません。あらゆる事態に備えて打てる手は全て打つという考えで法律改正をしようとしています。(2/3)
「これ、誰かに言わされているんじゃないか」
菅官房長官も「事実関係の誤りを指摘するなど、政府から必要な発信をすることが自由な論評を阻害することになるとは考えられない」(6日の記者会見)と発言。
つまり政府の見解が絶対に正しく、ほかの解釈はできないということになる。ああ、これこそ緊急事態ではないか。
このほか厚生労働省のツイッターも「モーニングショー」に反論していた。しかし「不正確な反論をして報道機関に再反論されたり」(毎日新聞3月7日)というまさかの展開となった。
厚労省ツイッターが不正確な反論というのもギョッとするが、「これ、誰かに言わされているんじゃないか」と私は当初から感じていた。すると、
「官邸幹部が指示」
《首相官邸幹部は「事実と異なる報道には反論するよう指示した」と明かした。》
というではないか(毎日新聞・同)。ああ、やっぱり。
先ほど私は緊急事態と書いたがなんのことはない。いつもの通常営業だったのである。