中国発の新型コロナウイルスにより、日本では多くの学校が休校となり、一部企業はリモートワークへとシフトすることになりました。
先んじて中国では会社員も学生も多くが自宅待機となり、ECに強いアリババやテンセントやバイトダンスなどの大手企業が、ここぞとばかりに「リモートワークにはこれがオススメ」とチャットアプリやオフィススイートアプリ(オフィス機能+会議機能)をプッシュしています。ネット企業や導入する企業の対応が早いのは素晴らしいことですが、学校現場でも新型コロナウイルスが流行する中で新しいアプリの導入を決定していて、家にいながらにして授業を再開するのだから、思い切ったことをするものです。
アプリで自宅学習も管理する中国の学校
アリババが出している「釘釘(DingTalk)」というチャットアプリは、現在人気の「微信(WeChat)」と比べて、既読マークがつくというのが数ある特徴のうちのひとつです。LINEにもある機能ですね。釘釘のレビューを見ると、おかげで「オンライン授業中に気が抜けなくなった」と、5段階評価の1を入れるキッズもいるそうです。その気持ちはわかる。家にいるし、スマホもあるのだから、勉強とスマートフォンによるアニメ視聴やゲームやチャットなども両立したいけれど、いざ家でひきこもりライフを満喫しようとしたらアプリがちゃんとチェックしているんだからたまったもんじゃない。
つまり学校の現場では、微信が日常的に使われていたけど、今回の新型コロナウイルス騒ぎで、釘釘に変えたというわけです。オンライン化がまったくされてない状況から一気にチャットを導入したというわけではないのです。
「中国の学校でオンライン授業が導入されてスゲー」ということはネット言論でもみますが、それ以前から学校など教育環境でチャットアプリが導入されていることについて紹介していこうと思います。
チャットアプリで担任とやり取りする保護者たち
知りうる限り、中国の都市部の市街地の学校であれば、幼稚園だろうが学校だろうが、伝達は紙を使わず、微信などのチャットアプリのグループチャットを使っています。今は釘釘を導入する学校もあります。グループチャットには各生徒や生徒の父母が加入していますが、父母が忙しい場合は、祖父母が加入している場合もあります。だいたいは担当の先生が要件を伝達すると、各生徒の保護者から早押しクイズかのように「読みました」「確認しました」との返信ラッシュが延々流れます。スマホでチャット通知をオンにしていると、連続で通知音が鳴り響くわけです。まあ通知をオフにすればいいだけなのですが。
変化球では、国威発揚系のテレビ番組を子どもたちに見せなければいけないときに、「この時間のこのチャンネルの番組を見ろ」と先生がメッセージを送信します。そうすると親は生徒が該当のテレビ番組を見ている姿を証拠としてスマホで写真やビデオに撮ってチャットアプリで返信するわけです。