日本の公立学校はデジタル化が進んでいない
さてチャットアプリが連絡手段となると便利なもので、親、生徒、教員がグループチャットに登録しているということは、参加者各人に個人的にメッセージが送れるということです。つまり子どもや親が先生に個別に相談したり、親同士が相談したり、複数の親子で週末アウトドア旅行の計画を立てたりすることができるわけです。
翻って日本の状況を見てみましょう。
学校の現場は、少なくとも公立学校では、ほぼほぼデジタル化が進んでいません。多くの学校のホームページには、電話番号は書いてあるけど、メールアドレスすら記載がありません。連絡はわら半紙で、個人情報保護の観点から、連絡網もなく先生の電話番号すらわかりません。在宅学習となっている今、先生がたは自らが郵便配達員となり、各生徒の家庭に連絡事項のプリントを投函していると聞きます。
特に小学6年生など最終学年の各児童の家には、卒業式を前に連絡事項の紙が届き、それをもとに地域によっては開催される卒業式に向けて準備するわけですが、「服装はどうすればいいのか」など聞きたくても電話しか連絡手段がないわけですよ。また働き方改革で先生方が早く帰宅するので、電話を受け付ける時間は日中のより短い時間に限られているわけです。メールやLINEなどの連絡手段があれば、時間制限に悩まなくてもいいわけです。
在宅学習を余儀なくされる中で
LINEや微信のようなメッセンジャーの利点としては、先生と生徒と親が任意で話せるだけでなく、ログが残ることも挙げられます。LINEや釘釘であれば既読表示があるのも強みです。メールだと読んだかわからないので、返信がないと再度連絡する必要があります。
これらの話は匿名で現役教師の方から聴いたのですが、加えて「行動の根っことしては、やっていることはアピールして、変化を望まず、変化に対して責任を持ちたくない」と話していました。またその方は「子供相談室も電話対応になっていて、いじめや家庭のつらい相談を口に出すのはしんどいはず。電話口の担当者が変わることでまた1から話すのはつらすぎる。LINEやメールなどなら、口に出さずメッセージを送ればいいだけのこと」と、学校に限らず、子どもに身近な環境に電話しかないことに不満を語っていました。
さて今回の新型コロナウイルス騒ぎをトリガーにしたのか、先日、オンライン医療相談サービスのLINEヘルスケアやfirst callが、期間限定でネット医療相談を無料で提供して、かつ経済産業省が設置する新型コロナウイルスの「健康相談窓口」として選定されました。
IT化を目指す教育現場についても在宅学習を余儀なくされる中、変化があってもいいのではないでしょうか。個人情報保護を理由にLINEを連絡手段として使わない場合、次の段階の在宅学習時の双方向のリモート授業には進めないのです。