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チャットアプリでいつでも連絡できることをいいことに……

 たまに変な大人もいて、感動して拡散させたいのか無関係のニュース(だいたいB級ニュース)を学校のグループに投げる人もいますが、おおむねスルーされているので健康なインターネット環境ができているわけです。

「中国は決定スピードが早い」とはよく評されますが、それは逆に言えば無計画とも言えます。先生から「3日後に運動会があります」と伝えられたり、夕方に「明日、色鉛筆セットをもってこい」と言われたり、「今日の絵日記1枚書いてこい」と言われたりすることは茶飯事です。微信でいつでも連絡できることをいいことに、口頭で伝達していたころよりも、思いつきのようにギリギリのタイミングで伝達をする傾向が強まりました。

 スマートフォンは、都市部の市街地の人々であれば皆持っています。今や老人もスマートフォンの微信で親族や友人とメッセージをやりとりし、ドラマや歌劇などの動画を見る時代です。フィーチャーフォンしか持っていないなんてことはありえません。子どもは親のスマートフォンを借りて連絡事項を見るなどできますが、多くの子どももスマートフォンを所有しています。

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中国の中学生たち。スマートフォンは持ち込み禁止だがみな所有はしている ©️山谷剛史

中国でタブレットを導入する学校は少数

 日本の学校でデジタル授業というと、何かとタブレット配布の話が出がちです。購入するタブレットのスペックが低ければ「なんでこんなクソ製品買わせるんだ!」と話題になるし、スペックが高ければ値段も高くなり「こんな高い製品を買わせるのか!」と苦情が出るのが難しいところ。導入するならば、プログラミングやオフィスソフトやグラフィック系のソフトを入れるので、どうしてもハイスペックなタブレットが必要だと思っています。公的負担を多くして、親の負担を少なくするハイスペックなタブレットが買えるならいいとは思うのですが……。

©iStock.com

 一方、中国でタブレットを導入する学校は少数です。そもそもタブレットを所有する家庭はそれほど多くはありません。プログラミングの授業を導入している学校も実はそんなにあるわけではありません。Windows搭載パソコンでWord、Excel、PowerPointを使う授業はあります。したがって、在宅の場合は、特定の授業だけパソコンを使うという形式になります。

 日本だと子どもの視力低下が心配されそうですが、WHOのレポートは「中国の青少年の近視の割合は67%まで高まっていて、アジアの先進国よりも高い」と報じているので、たしかに視力への影響はありそうです。もっとも学校だけが理由でなく、スマートフォンで人気ゲームを遊ぶことがチャイナキッズたちのトレンドになっているという事情も大いにあるでしょう。