下半身はパジャマ姿で
2017年2月某日。パソコンの前に緊張した面持ちで座る私。申し訳程度に化粧をして、シャツとジャケットを身にまとっています。
ですが、下半身に目をやると、パジャマ。もこもこのあったかーいパジャマ姿です。
いやー、Skype面接っていいですね。下半身は絶対見えないので、上半身だけばっちりキマッていればいいですし、自宅でできるので交通費もかからない。
そんなふざけた格好で挑んだ一次面接でしたが、こちらもスルッと通過。特筆すべき内容がないほどオーソドックスな面接だったことに加え、「事業をやっていくうちに公共性・公益性を意識するようになったので、報道畑の人がほしい」という今回の募集の理由を聞くと、ここで落ちてちゃまずいわけですが。
1週間後に受けた二次面接もSkypeで。インターネット関連の事業をしている企業だと、このあたり柔軟に対応してくれるので地方在住者にはありがたいです。
一次面接の内容をしっかり引き継いでいるようで、自己紹介をしたのち、どんな仕事がやりたいかなどの話をして、30分程度で面接はサクッと終了。あまりに短時間だったので不安になりましたが、2時間後には最終面接のご案内が。
これ、内定もらえるんじゃね?
これまでになくサクサクと超スピードで進んでいきます。出てくる面接官も感じがよくて、この人の下なら仕事がしやすそう、と思う方もいました。インターネット関連で急成長した企業って、「生き馬の目を抜くぜ~!」みたいな感じなのでは、と勝手にビビッていたんですが、皆さんおだやかな印象。まあ、皆さん能ある鷹で、爪隠しまくってるんでしょうけど。
「あなたはもう、自分が何をしたいかわかっている」
最終面接もSkype対応可、とのことでしたが、リクルートエージェントの「なるべく直接会ったほうがいい」という強いプッシュもあり、最終面接だけは東京のオフィスで受けることにしました。
勝手にインターネット関連企業(とくに若い企業)あるあるだと思っているんですが、なぜこういう企業って植物が置いてあって、壁やカーペットがカラフルなんですかね? こういうおしゃれなオフィスのほうが、生産性が上がるという研究でもあるんでしょうか。
またまたおしゃれなオフィスに来てしまったな~と思いながら待っていると、面接官の登場です。
執行役員のひとりというこの方。私の地元にある新オフィスの開設を担当していたとのことで、まずは私の地元トークから始まります。
そのまま自己紹介をするタイミングもなく、話はあっちこっちに転がり、気づけば「どうやったら『やる気』を引き出すことができるのか」というテーマで議論することに。やる気には、内的要因もあれば外的要因もあるのでは、なんて話をしているうちに今度は「自発的」に働くとはどういうことなのか、というディスカッションになりました。
どうやったら社員に「自発的」に物事をやる人間になってもらえるのか。「自発性」という特性は先天的なものか、はたまた後天的なものか……。
あれ? これ私の採用面接だよね?
何で私はここで人事コンサルみたいな話してるの?
もっと私がどんな人間かとか、どんなことができるとか確認しなくていいの?
そんな思いを抱えつつも、議論自体は面白いので続けていると、最後にこんなことを言われました。
「あなたはもう、自分が何をしたいかわかってるし、もうすこし小さい会社のほうがいいんじゃない」
あっ、これ落ちたわ。
そんな私の勘は当たり、1週間後、今回はお見送りという連絡がきました。
あんな自己紹介もない面接で、一体何を見て落とされたの? やっぱり人間性に問題があるって思われた?
サクサク進んだのに、最終面接でこんなことになるとは、思わず凹みます。しかも、謎の議論を繰り広げた末、能力ではなく人間性で落とされたようなのが精神にキます……。
しかしながら、面接のときに言われた「あなたはもう、自分が何をしたいかわかってるし、もうすこし小さい会社のほうがいいんじゃない」という言葉はその通りかもしれない、とも思うのでした。
キヨシマの転職活動メモ
一、人間性で落とされると、いい歳をした大人でも傷つく
※この連載は、新聞記者として5年働いたキヨシマによる、「脱力系」転職活動記です。書かれていることは全て現在進行形のノンフィクションです。