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吉田輝星、万波中正……ファイターズの若手選手が“キャラ立ち”するまで

文春野球コラム2020 開幕延期を考える

2020/03/23
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 無観客のオープン戦だったり開幕が4月以降にずれ込んだりと尋常ではない事態が進行中のこの春ですが、とにもかくにも球春真っ只中には違いありません。3月7日のHTB北海道テレビ「FFFFF(エフファイブ)」では、ファイターズの新任コーチ2人、小笠原道大と武田勝のインタビューが放送されました。「新しいコーチ」であると同時に「久し振りに戻ってきたOB」でもある彼等、「かつてと比べて今のチームはどうか」「それを踏まえてどう指導していくか」という話は大層興味深いものでありました。

 ……という真面目な話だけでは終わらない訳です、武田勝パートは。北海道から遠く離れた石川ミリオンスターズに行っていた期間でさえも、宮西尚生の主役回になぜか乱入してきたりしていた勝さん、この日もアナウンサー氏に向かっていかりや長介ばりに「おっす!」って、いや今日はそういう企画じゃないからっ。

若手選手が“キャラ立ち”するまで

 笑い転げつつ、ああ本当に彼が帰ってきたんだなあと改めて実感していたのですが、そこでふと生じた疑問。勝さんのこの芸風、いつ頃から定着したんだっけ?

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 最初はポーカーフェイスの飄々とした雰囲気が何か面白いぐらいの感じだった筈なのです。それがHTBの人気番組「水曜どうでしょう」のファンであることが知れ渡った辺りから段々エスカレートしていって、そしてとうとう気がつけば、引退セレモニーで爆笑の渦が巻き起こるような唯一無二のキャラクターとなっておりました。

 俗に「キャラ立ち」などと申しますが、若手選手達のそういうイメージを北海道にいて掴むのはなかなか難しいものがあります。鎌ヶ谷が身近な在京ファンのブログやツイッターなど見ると、この子はこういう性格だからとしっかり把握しているのが判る記述がしばしばあって、羨ましい限り。顔と名前と背番号とポジションを憶えても、それだけでは「この選手を憶えた」という実感は持ちにくいものです。人柄や性格を知る手がかりが欲しいんですよね。

 というところで大いにファンの助けとなるのが「FFFFF」のようなテレビ番組、雑誌やスポーツ新聞など。特にシーズンオフは年末年始の特別番組だとかインタビュー記事だとかでプレー以外の顔を知る機会がぐっと増えます。このオフは、玉井大翔に対する認識を新たにすることができました。宮西尚生に彼と加藤貴之がお供する街歩き系番組を観ていたのでありますが、加藤貴之が基本的におとなしく宮西先輩に従っているのに対し、玉井大翔はああ見えて案外「ああ言えばこう言う」タイプだったんです。宮西先輩出題のクイズに答えられなかった時も、そもそも出題が悪いとしつこく食い下がっておりました。ぱっと見、おとなしそうに思える風貌ですが、きかない性格だったのですね実は。

 こんな風に、選手のイメージが固まるまでにはある程度の時間を要します。先日はようやく、吉田輝星のキャラクターの一端を掴むことができました。UHB北海道文化放送「みんスポSATURDAY」でのルーキー河野竜生インタビューです(聞き手はOB建山義紀)。イケメンと評判の河野竜生、ただし男前ではありますが所謂「小顔」ではなく体型もがっしりとしているのですね。で、21歳の彼が19歳の吉田輝星から、「三頭身」とからかわれたらしい。

 思えば2018年のドラフト会議、坊主だった髪の毛が程よく伸びてきた吉田輝星を見て、蕗谷虹児の絵かと驚いたものでした。しかしどうやら中身の方は、儚げな美少年なんてなものでは全然なさそうですねこれ。平気で先輩をいじるクソガキっぷり、何か既視感があるなあと思ったら、大谷翔平やダルビッシュ有がそうでした。エースになる投手の共通点で縁起がいいということに強引に決めます。河野君も言われっ放しでいないようにねっ。

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