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今、野球記者ができることって何だろう? 矢野阪神の“練習ライブ配信”を見て考えた

文春野球コラム2020 開幕延期を考える

2020/03/22

 職場でも、家に帰っても、友達とお酒を飲んでいても新型コロナウイルスで話題は持ちきりです。「景気悪いなあ」とか、「なんでもかんでも中止にしなくていいのに」とか、「プロ野球いつはじまるんやろ」とか。持論を述べ合う時間は嫌いじゃありませんが、ここまで続くと、もうなんか、考えること自体に疲れてきました。

練習を動画配信 矢野阪神のファンサービス

「なんでこんなことになったんや……」と落ち込んでいる時間が疲れの原因です。プロ野球担当記者の立場で言えば、開幕に向けてチームとファンを報道で盛り上げるつもりだったのにできなくなってしまった。もっと言うと、新聞に書くネタを見つけるのが大変で、普段とは違うストレスを感じています。

 しかし、野球記者が新型コロナウイルスに対してできることといえば、手洗いうがいをはじめとする感染対策の徹底と、適正な政治家を選ぶための選挙に参加するぐらいです。医療とか政治とか専門分野じゃないから現状を嘆いても仕方がない。最低限の努力をした上で、何倍も何十倍もの知識を持って戦ってくれている人たちに任せるべきです。

マスク姿の報道陣の取材を受ける矢野監督

「では、今やるべきことはなんなのか」と自問を始めた時にスタートしたのが矢野阪神のファンサービスでした。練習風景をインスタライブやYouTubeでライブ配信し、編集した動画をアーカイブで公開しています。練習の動画配信なんて、ファンにとって最高のコンテンツだと思います。

 普段なかなか見られない選手の一面が見られたり、もっと言えば、誰と誰がキャッチボールしてるのかな……とか、フリーバッティングのあと「ありがとうございました!」と高校球児みたいにあいさつする若手選手とか……、一足早くシートノックを終えた外野手が内野ノックを見ている後ろ姿とか……。チームにとっての日常がファンにとっては非日常。ある種のエンタメになっていると感じます。