いまから10年前のきょう、2007(平成19)年8月16日、午後2時20分に岐阜県多治見市、同42分に埼玉県熊谷市で気温40.9度を記録した。日本国内の観測史上における最高気温は、1933(昭和8)年7月に山形市で記録された40.8度だったが、これにより74年ぶりの更新となった。

 この年は8月に入り、太平洋高気圧がしだいに勢力を増し、日本列島を覆い続けた。その勢力は15日から16日にかけてピークに達する。多治見と熊谷のほか、埼玉県越谷市、群馬県館林市、岐阜県美濃市と、熱せられやすい内陸部の各地で40度以上を観測した。熊谷では16日朝の最低気温は28.8度までしか下がっておらず、前日からの暑さが残っていたことも、気温を底上げしたものと見られる。この日は全国各地で熱中症で倒れる人もあいつぎ、6都府県で高齢者を中心に11人が死亡した。

 一方で、暑さを逆手にとる動きも見られた。熊谷市では記録更新以前より、全国的に知られる夏の暑さこそ“無形文化財”と位置づけ、関連グッズやイベント開催で町おこしに取り組んでいた。それまで記録を保持してきた山形市でも、雪国が最高気温の地という意外性もあり、観光パンフレットなどで紹介してきた。記録が塗り替えられたことに、山形市の職員からは「暑くて、うんざりしますが、日本一と言えないのは、少し寂しい気がします」との声も聞かれた(『朝日新聞』2007年8月17日付)。なお、その後、2013年8月12日には高知県江川崎(四万十市)で41.0度を観測、最高気温の記録はわずか6年で更新されている。

熱中症予防に、屋外ではこまめに水分補給を ©iStock.com