「新幹線まではなんとかなるけど、リニアモーターカーのスピードにはついていけません。東京から乗ってベルトをする間もなく名古屋に到着というのは、ちょっときついですよ」
代表取締役社長を務める水道メーター製造・販売会社「ニッコク」の一室に現れたみのもんた(75)は、穏やかな表情で自身の“降板理由”についてそう語った。
みのは今年3月いっぱいで、MCを務めていたバラエティ番組「秘密のケンミンSHOW」(日本テレビ系列)を降板することを発表。降板後のレギュラー番組は無くなり、事実上のテレビ引退となる。
「文藝春秋」4月号掲載のインタビューでは、引退に際しての心境が明かされた。
今のテレビに“本当の喋り”はあるか?
冒頭のように、年齢による体力の衰えによって引退を考えたと言うみの。
一方で、年齢という理由だけでは解決できない“隔たり”も感じていた。
「本当の喋りには『間と緩急』というものが必要なんですよ。ですが最近は、機関銃のように言葉をまくしたてて、それをぶつけ合うというのが、どんどん(テレビの)主流になってしまったような気はしますね。
『これはひょっとしたら、テンポがあって良いということなのかな?』と考えたこともあったんだけど、どうやらテンポというものでもないみたい。そこにあるのは、奇声、歓声、罵声、ざわめきだけで、いつまでたっても核心の『か』の字も出ないし、話題は急に飛ぶし、挙句の果てには起承転結がなくなっている。ちゃんとした言葉の文章が流れてこないので、何を言っているのかさっぱり分からなくなるんです。
例えば、バラエティーのタレントさんはずいぶん昔からいるけれど、タレントの元々の意味は『能力』や『才能』ですよね。最近は踊ったり騒いだり奇声をあげたりするだけで……ピエロにもなれないね。似ているようで、全く違う。本物のピエロのパフォーマンスを見ると、物悲しい気持ちにさせられる。あれは凄いね。最近のタレントさんは、喋りで相手を笑わせたり驚かせるところまではいけるかもしれないけど、泣かせることは出来るかな?」