新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全国一斉休校が続く教育現場。中高生の「受験」にも大きな影響が出たが、実は今、教育の分野では、東京と茨城で大きなインパクトを伴う変化が起きている。「公立」の中高一貫校が増加しているのだ。
発売中の「文藝春秋」4月号では教育ジャーナリストのおおたとしまささんが、その背景に迫った。
都立中高一貫校はすべて高校募集を停止
東京都は昨年、新たに5校の高校募集をやめ、すべての都立中高一貫校で高校募集を停止すると発表した。主に2つの理由がある。1つは、高校からの志願状況が1倍を割り込むこともあるなど低調だったこと。もう1つは、高校からの入学者を考慮する必要により中高一貫のカリキュラムを活かしきれないという制約が生じていたこと。
都立一貫校の難関国立大学(東大・一橋大・東工大・京大・国公立大医学部)の進学割合は、中学から通う内進生が7.6%であるのに対して高校からの外進生は0.8%と、大きな差があったのだ。ちなみに日比谷など都立進学指導重点校7校の難関国立大学進学割合が8.1%であり、都立一貫校内進生はそれと同等の進学実績を出しているといえる。
都立中高一貫校の合格実績で過半を占める進学塾「ena」を運営する河端真一学院長は、今回の高校募集停止を次のように評価する。
「良い判断。5校で合計200人近い中学募集枠拡大が予想される。これですこしは需給のバランスが改善して、倍率が落ち着くのではないか」
茨城県も一気に10校を中高一貫校化
一方の茨城県は、2020年度から22年度にかけての3年間で、一気に10校の県立高校を中高一貫校化する。茨城県にはすでに3校の県立中高一貫校があり、合計で13校となれば、その数は東京を上回る。