「撮影を進めていくなかで、どんどん新型コロナウイルスの影響が増してきて、誰も声にはしませんでしたが『撮影続けていていいのかな……?』という不安が全スタッフにあったと思います。正直、撮影が休止になってホッとしています」
外での撮影もあり、大人数のスタッフが帯同して撮影が行われるドラマの現場。新型コロナウイルスの対策はどうなっていたのだろうか。
「注意書きみたいなものを全員に配布して、マスクもなんとか用意してエキストラにまで配布していました。室内の撮影では気づいた人が換気をこまめにするということもしていました」(同)
ある程度の対策は講じていたようだが、「正直、これで対策になっているのか?」という不安も尽きなかったという。
「体温計も準備していたのですが、結局義務化されてはいないので気づいた人や暇になった人が思い出して測るくらいのもの。出演者もマスクをすると、ヘアメイクが崩れてしまうことから常に着用はしていませんでした」(同)
新型コロナだろうと「作品は納期もあるし、放送日も決まっている」
ドラマは大手テレビ局が放送責任を持っていて、撮影自体は下請けの制作会社が行うことが多い。そのため実際の現場にはテレビ局員は少なく、制作会社の社員とフリーランスの人間が多いのだという。
「ドラマの現場ではカメラマンや音声さんなどフリーランスの方が多いので、僕ら以上に不安を抱えて撮影に参加していたと思います。彼らは保障してくれる人がおらず、自分の身は自分で守らなければいけませんから。現に一人の方から『このまま撮影に参加していてはいつ感染するか分からないからお休みさせて欲しい』という長文のメールが来ました」(同)
その彼もテレビ局が止めてくれないことには撮影を続けざるを得なかった心中を「いつ感染するのか……正直、怖かった」と振り返る。
「ある程度保障されていると言っても、僕らの裁量では会社が『撮影を止めてください』と言ってくれなければ止めることはできません。世の中では“不要不急の外出は控えるように”と言われていたって、現に作品は納期もあるし、放送日も決まっているし、放棄するわけにはいかないんです」(同)
制作していたドラマは4月中旬までの撮影休止が決まっているというが、作品の完成度には問題は出ないのだろうか。
「脚本の構成を変えることでどうにか対応することになると思います。例えば、ロケ地を減らして移動時間を節約するとか、キャラクターを減らすなどでしょうか」(同)
「本社ビルとスタジオには入館規制が……」
そんななか、各テレビ局の本社ビルや保有するスタジオでは施設に入れる人数を制限するなど対応を強化しているという。
「3月末から出入口が1つに統一されました。入るのにも体温測定が義務化されています」(制作会社・情報番組担当/20代・男性)
「本社のテレビ局でも、3月末からはたとえ社員でも本社ビルとスタジオに入館規制がかかるようになりました。放送に直結する業務の人以外は基本、来ないでくださいというような。会議も全てオンラインです」(制作会社・イベント担当/20代・女性)