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「いつ感染するのか……」ある連ドラスタッフが明かす“現場の怖さとやりがい”

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 新型コロナウイルスの影響が日増しに拡大するなか、各企業は“決断”を迫られている。東京都内だけで、4月5日の感染確認数は143人、累計は1000人を超えた。事態の悪化を受けて、安倍晋三首相は6日、1ヶ月間に及ぶ「緊急事態宣言」を発令することを表明。本日7日の午後7時からの記者会見で国民に対して説明をするとしている。

 しかし、こうした情報を伝えるライフライン「テレビ業界」も制作の現場は窮地に追い込まれている。

 NHKは4月1日、大河ドラマ『麒麟がくる』と連続テレビ小説『エール』について、当面の収録を見合わせることを発表した。さらに、TBSは今春のドラマ3作の初回放送の延期を発表。翌2日には、「4月4日から19日までの2週間、ドラマやバラエティにおけるロケとスタジオ収録の休止」も決定した。その後も、テレビ東京が在宅勤務の強化をはかり、3日から1週間を目処に全社員の2割程度の出社で放送をすることとし、原則は収録を休止するとしている。

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 これに続いて、6日には日本テレビがドラマ・バラエティ番組のスタジオ収録・ロケを2週間、中止することを発表したほか、新ドラマの放送延期も決定している。7日にはフジテレビも、「ごく小規模の関係者で感染防止対策を充分に講じることができる番組以外の、ロケやスタジオ収録を当面の間控える」と発表した。

 NHK子会社の技術職やTBSの派遣スタッフ、テレビ東京の派遣社員の感染も実際に確認されている。

『麒麟がくる』(NHK)は4月1日以降に予定していた収録を当面見合わせることを発表している(公式HPより)

 日増しに状況が深刻化するなか、いまテレビ業界はどうなっているのか——。各テレビ局で働く社員に現状と、「本当のところ」を取材した。

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「私たちスタッフはマスク着用しているけど……」

「局としての正式発表はありませんでしたが、3月末ごろに『ロケ取材やそのためのロケハンなどは控えるように』という指示がすでに上司からありました」

 こう話すのは、大型情報番組を担当する制作会社勤務の若手AD(20代・女性)。スタジオ収録では、最近よく見るようになった「出演者の間隔をあける」を実践しているという。

「スタジオ収録で私たちスタッフはマスク着用がほぼ義務化されているのですが、出演者の方はマスクなし。万が一スタッフが感染して移してしまったら大変なことですから打ち合わせや立ち話でも、必要以上に距離感などに気を遣わないといけない。正直、しんどいです」

 お店など外での取材も多い番組だが、断られる回数は増えなかったという。

「取材をしにお店に伺うとどこもガラガラ。でもこんな時だからこそお店を宣伝してくれるなら……と引き受けてくださるお店もあります」(同)

 ロケにあたっては、密集空間で感染につながりかねないロケバスを当分の間はなるべく使わないようにしている。

『未満警察ミッドナイトランナー』(日本テレビ)は、初回放送の延期を発表し、新たな放送開始日は検討中としている(公式HPより)

 また同じく大型情報番組の制作に携わる制作会社若手AD(20代・男性)も、出演者からはこんなことを聞いたと言う。

「『確実に仕事は減っていてしんどい。基本的に給料はしばらく経ってから振り込まれるので、この影響がガツンと響いてくるのは多分もう少し先の秋ごろ。その穴埋めをどうやってしたらいいのか……』と話していました。その方は売れっ子でテレビ出演も多い人なのに、そこまで大変なのかと驚きました」

「正直、撮影が休止になってホッとしています」

 一方、連続ドラマの現場で3月中旬から撮影を始めていたという制作会社勤務の若手AD(20代・男性)も「3月末に撮影をしていたら急遽プロデューサーから『当分撮影は休止します』と言われました」と明かす。

『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ)は9日に予定していた初回放送の延期を発表。放送日が決定するまで『グット・ドクター』を再放送するという。(公式HPより)