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 北朝鮮当局は、中国を訪問したり、中国人と接触した者に対して、無条件で15日間の隔離を指示している。この施策については、金正恩朝鮮労働党委員長から「(隔離から)無断で離脱する行為に対しては軍法で対処するように」との指示が出ているとされる。

 その対策の結果、朝鮮中央放送などで報じられた地域ごとの「隔離解除者数」は、平安南道・北道4300人(3月20日報道)、江原道1430人(3月20日同)、慈江道(チャガンド)2630人(3月8日同)など。全国の総数は報じられていないが、地方で発表された数を合算するだけで、約9550人にも及んでいる。4月3日には「現在全国に約500人の隔離者が残っている」とする報道もあった。

 これだけの隔離者、隔離解除者がいながら「感染者ゼロ」とは釈然としないが、これが北朝鮮の「公式見解」なのだ。

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平壌でも市民はマスク姿だ(4月1日) ©AFLO

建国後初めて中止になった行事

 北朝鮮では、中国で新型コロナウイルス感染拡大が深刻化すると、1月22日には中朝国境を封鎖。2月1日からは北朝鮮に滞在する各国の外交官に、指定の大使館区域から離れることを禁止する制限措置を取っていた。小学校から大学まで全ての学校で、2月末に始まる予定だった2学期(後期)の始業が延期された。

 また、金正恩委員長を護衛する司令部内に感染者が発生したため、金正恩自らが2週間程度、東海岸や元山一帯に滞在していたという情報もあった。

金正恩を囲む軍幹部もマスク姿(3月12日) ©AFLO

 さらには、国民生活にも大きな変化をもたらしている。

 北朝鮮では毎週土曜日、自分が属する組織や町内の人民班で集結し、「生活総和」を行う時間が設定されている。この行事は、1週間に起こった出来事の中で、北朝鮮の統治理念や主体思想から外れた誤った行動に対して自己批判し、他人と相互批判するもの。

 北朝鮮の政治理念「チュチェ(主体)思想」を国民に浸透させて、独裁体制を支えるための非常に重要な骨組みの一つで、多くの脱北者が「なにより生活総和への出席が苦痛だった」と打ち明けるほどの行事だ。この「生活総和」も3月下旬から、建国以降初めて一時中断されたという。