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ワクチンの副作用への恐怖が伝染病の噂に負ける

 は? おのれら、反ワクチンで鳴らしている仲良しエセ科学ファミリーですよね。なんでBCGワクチンを? と思って訊いたら「コロナウイルスの感染が怖すぎて、BCGワクチンが効くと聞いていますぐ家族全員で打ちたい」。

 なんでしょう、このコロナウイルスのお陰でインカ帝国最後の皇帝アタワルパ的な強制改宗にいたる反ワクチン派は。馬鹿もたいがいにしろよ。ワクチンの副作用への恐怖が伝染病の噂に負けるとかいうクソみたいな事態に、こちらがビビるのであります。まだBCGワクチンがコロナウイルスの予防に効くというのは調査段階であって、そもそもおのれのような中高年のおばさんが打っても副作用の虞(おそれ)があるんですよね。いままでの貴女がたのご主張はなんだったのでしょう。

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 仕方なく、本業は筋トレするゴリラ、副業で医師をやっている友人の奥村剛先生に相談し、また個人的に良く知る近場のクリニックをご婦人に紹介して、ご主人、ご婦人ご本人と、4歳、1歳になるお子さんに行ってもらいました。お子さんたちには無事にBCGワクチンのほか、いままで真っ白だった母子手帳が埋まるぐらいに他のワクチンもしてもらったうえで、自然派ご夫婦も肺炎球菌ワクチン以下各種を接種していただいたようです。

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 いままでの反ワクチン活動が台無しになって私もご満悦、さっきご婦人から泣きながら結果報告がお電話でありました。ざまあ。コロナウイルスとはまったく関係ないけど、個人的には良いことした後のビールは格別だなと思うわけであります。

必要なICUもHCUも満床になっている

 んで今週末、突然ですが持病のある親族が激痛をともなう発作を起こしてしまったので、救急車を呼んでかかりつけの医師のおられる大学病院に向かおうとしたのですよ。そしたら、いきなり断られてしまいます。えっ、どういうことなの。その医療機関ではコロナが院内感染しているとのことで救急の受け入れを停止している、ですと。真っ青になる私。

 慌てて救急隊員さんにお願いをして過去に診療していただいたことのある病院に電話をしてもらったものの、どこもコロナウイルス感染の疑いのある患者さんで救急外来が満員で、親族が必要なICUもHCUも満床になっているとのこと。

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 普段は冷静沈着をもって鳴るこの私もさすがに焦りましたね。

 まさかこのような形でコロナウイルスが自分の家族の身を直撃することになろうとは。テレビの液晶の向こうでは「コロナウイルスの患者さんがICUを埋めてしまうので、がんなど他の病気で手術を予定していたり、救急対応しなければならない患者さんを診られなくなってしまう問題」について話しておりましたが、突然自分ごととして降りかかってくるなんて思いもよらなかったのです。言われてみれば、当たり前のことなんですけどね。