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安倍首相の会見から「危機に強いリーダー」を感じられなかったのはなぜか

言葉や仕草から臨床心理士が分析する

2020/04/09

 これが史上初の緊急事態宣言発出直後の記者会見なのか?

 そう感じたのは、政権が感じているだろう切迫感も危機感もほとんど迫ってこなかったからだ。宣言が出るのが遅かったということも言えるが、安倍一強と言われ歴代最長の政権を率いる安倍首相だけに、「危機に強いリーダー」の姿をここぞとばかり示してくれると思ったのだが……。

「緊急事態宣言」の発出についての記者会見は、質疑応答を含めると約1時間に及んだ ©︎AFLO

緊急事態を宣言するまでにかかった時間

「緊急事態宣言を発出することといたします」

 4月7日、19時から行われた安倍首相の記者会見は、質疑応答を除いても25分間に及んだ。正直、長い。長々とした話は、人の心に訴えかけてはこない。

安倍晋三首相による記者会見

 新型コロナウイルスに感染し、今は集中治療室に入院しているイギリスのボリス・ジョンソン首相が、国民に向けて外出自粛を呼び掛けた会見はわずか6分。言いたいことがコンパクトにまとめられている上に、声、表情、仕草が相乗効果をもたらし、ジョンソン首相の意図を的確に表していく。このメッセージには、訴えかける力があった。

 
国民に自宅での待機を呼びかけるジョンソン首相

 だが、安倍首相は冒頭から淡々とした口調で、細かく現状を説明しようとしたためか、緊急事態を宣言するまでに4分近くもかかってしまった。

「表明準備」緊急なのにスピード感なし

 だいたい前日の6日、「とうとう宣言が出されるのか!」と思ったら、あの小さなマスクをはずし、記者団の前で口にしたのはまさかの「準備表明」。いやいや、事ここに及んで準備表明はないでしょうと思った。「緊急の割に緊急事態宣言は明日か」と、テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏が自身のTwitterに投稿したが、まさにその通り。緊急事態だというのにスピード感が感じられなかったのは、この時と同じだ。

デーブ・スペクター氏のTwitterより