4.アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険
人類よりも前に月面着陸に成功したネズミがいた。ネズミ界では月は空に浮かぶ巨大なチーズと考えられていた。あるネズミは、どうしても自分の目で確かめたくロケット設計に乗り出す。
○R-40ここがおすすめ!
「大西洋横断の前作に続き、宇宙への憧れを具現化させたネズミの大志を描く大型絵本」(ジュンク堂書店盛岡店・岩橋淳)
「試行錯誤を繰り返して、ついに目標を達成」(NET21恭文堂書店学芸大学店・菅原豪)
「奇想天外なのにとてもリアルに思えます。字も多いので読み応えあり」(おおきな木・杉山千恵子)
5.ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部
ハリー・ポッターも37歳。妻ジニーとの間に3人の子供がいる。次男アルバスは、父親の過去でどうしても許せない所業があった。彼は仲間と共謀して時間を遡り、事件を起きなかったことにしようとするが。
○R-40ここがおすすめ!
「戯曲だし、読んでもらえるのだろうか? という心配は杞憂でした」(有隣堂ヨドバシAKIBA店・内山直子)
「親子それぞれの気持ちが描かれ、大人にも読みごたえあります」(有隣堂店売事業部・細川吉彦)
○R-40 こちらもぜひ!
楠章子他『ばあばは、だいじょうぶ』は「認知症を子どもの目線でとらえた物語」(ふたば書房社長・洞本昌哉)。集英社版全20巻『学習まんが 日本の歴史』は「大人の再入門、日本史勉強にぜひ!」(うつのみや金沢香林坊店店長・大田伸一)。
(コラム)R-40 企み力
「読書難民」の漠然としたニーズに応えて大ヒット さわや書店フェザン店・長江貴士
「書店が他の小売業の店舗と違うのは、購入する目的の商品がなくてもご来店されるお客様が多いというところなんじゃないかと思ってるんです」
こう語る長江貴士さんが仕掛けた『文庫X』フェアをご存知か。題名や著者名などの情報を隠し、長江さんが本のすごみを力説する文章だけをあしらった灰色のカバーを巻いた文庫本が売れに売れたという社会現象だ。
「書店に足を運ぶお客様には読書をしようという気分があるのは間違いないんです。それと同時に『本を読みたいけどちょっと……』という感覚もあるんですよね。僕たち書店は、本を読む気のない人に本を読ませることはできないんですが、『ちょっと……』の部分を解消することはできるんじゃないかと」
ちょっとの正体は例えば、「読むものがない」「小説はちょっと」かも知れない。読者の先入観を排した『文庫X』の成功は、読書難民たちの潜在的なニーズを見極めた結果と言えそうだ。
「実は今回書いた『書店員X』というタイトルには、僕自身、最後まで反対しました。『文庫X』についてだけの本ではないし、書店についてだけ書いたわけでもない。POPではできるだけ普遍性を強調した文章を考えますが、この本は個人的な経験や価値観をベースに生きづらさを抱えている人に向けて書いたつもりです」
サブタイトルは「『常識』に殺されない生き方」。書店運営のノウハウだけでなく、自身の来し方、人生観、ブックガイドも付いて類書にない独自性が魅力だ。
「正直言うと、本屋で働いているのはたまたまなんですよ」
そうニヤリと笑う長江さん。このクールさが稀代の書店員の独創性の源のように思えた。