4月15日に行われた韓国総選挙で与党・共に民主党が過半数を上回る議席を獲得して勝利した。経済政策や北朝鮮問題で暗礁に乗り上げていた文在寅政権は、総選挙を受けて再浮上。文政権の失政を覆い隠したのが、コロナ禍であり、選挙戦で喧伝された「100年親日清算」などの反日スローガンであった。
国民の信任を得る形となった文政権下では、再び反日的な政策が推し進められそうな雲行きとなっている。
そうなれば慰安婦問題や徴用工問題など歴史問題が過熱することは必至である。
だが韓国政府には新たな歴史問題が突きつけられようとしていることが先日、明らかになった。それは、韓国軍の罪が問われる「ベトナム戦争」という歴史問題だ。
「ベトナム民間人虐殺」で韓国政府を初提訴
4月21日付の朝鮮日報オンライン版が〈「民弁「ベトナム民間人虐殺について賠償せよ」、韓国政府を初提訴」という記事を配信したのだ。
以下、記事を引用する。
〈ベトナム戦争の際に生き残った女性が、韓国軍に虐殺の被害を受けたとして大韓民国政府を相手取って訴訟を起こした。民主社会のための弁護士会(民弁)の「ベトナム戦争時期の韓国軍による民間人虐殺の真相究明のためのタスクフォース(民弁ベトナムTF)」は21日午前、ソウル中央地裁前で記者会見を開き、グエン・ティ・タンさん(60)=女性=を原告とする訴状を提出したと明らかにした。ベトナム戦争での民間人虐殺の被害を主張して韓国政府を訴えた初のケースとなる。
グエン・ティ・タンさんは8歳だった1968年12月、韓国軍に銃撃されて母親や姉、弟、伯母、いとこなどが犠牲になったとして訴訟を起こした。グエンさんと民弁TFによると、当時ベトナムのクアンナム省ポンニ村で韓国軍青竜部隊に所属する軍人らによる銃撃が発生し、非武装地帯の民間人74人が虐殺されたという〉
慰安婦問題や徴用工問題が太平洋戦争時の論争であるのに対して、ベトナム戦争はより新しい問題であるといえる。日韓歴史問題においては補償についての議論が度々行われてきたが、ベトナム戦争下における韓国軍の蛮行については、未だ公式な補償が行われていない。