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中国当局に拘束されたのか? 新型コロナ告発後に“口封じ”された武漢・女性医師の現在

「どうも不自然だ。誰かが監視している」との危惧も

2020/04/26
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突然SNSに投稿された動画には……

 彼女は勇気を奮って党の恥部を語ったので拘束されたのではないかと、ネットユーザーは不安に思った。

 すると、4月13日、突然、アイ医師は30秒ほどの動画を微博(ウェイボー)で公開した。

「みなさん、こんにちは。今は2020年4月13日午後2時半です。今日は天気がよく、日が燦々と降り注いでいます。みなさんが私のことを気にかけてくださり、とても感謝します。今、私はいつもどおり勤務しています。わが武漢中心病院南京路分院救急科の入口で、この動画を撮っています。みなさん安心してください。私は大丈夫です」

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アイ・フェン医師

 これについて、短時間で約1500の書き込み、1457の転送がなされた。多くは「ホッとしました。無事に定年退職まで勤めて」などだったが、以下のような声もあった。

「先生(アイ医師)を譴責した者が免職されないから、私たちは1日だって安心できない」
「先生の安否が気になります。今、極左の風が強くて、文革によく似ている。『愛国賊』が多すぎる」
「また上目づかいした。その回数と目つきを見ると、私には分かる。君は君だけれど、語ったことは君の本心ではない」
「カメラのレンズを見ていなくて、原稿を読みあげているようだ」
「どうも不自然だ。誰かが監視している。本当に本人の投稿だろうか? 是非、これからも時々投稿してください。もし処罰されたら、『おれ様』はめちゃくちゃあちこち言ってやるぞ」

中国当局には“SARSでの前例”がある

 アイ医師が投稿した動画に対し、このような危惧や疑念が出るのは、前例があるためである。17年前、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染が拡大したとき、やはり中国当局は情報を統制し、事実を過小に伝えた。

急遽、病院に改造された武漢市内の施設 ©AFLO

 当時、人民解放軍301病院の蒋彦永医師は、SARSの深刻さを告発した書簡を中央テレビ(CCTV)や香港フェニックステレビに送った。だが報道されないため、蒋医師は海外のメディアにも書簡を送った。すると、ようやく広く知られ、国際社会の批判が高まり、保健相や北京市長が更迭された。

 すると突然、蒋医師の消息が途絶え、蒋医師の名前はあらゆる公式記録から削除された。