3月初旬の全国一斉休校から2ヵ月近くが過ぎた。一部の自治体では5月末までの休校延長が決定するなど、学校の再開はまだ遠い。我が子の学習状況を不安視する親たちには、「ヨソの子どもの様子」も気になるところだ。
学校からはどんな課題が出たのか? オンライン学習の有無は? きちんと勉強している? そんな疑問を保護者や先生にぶつけると、シビアな学習格差が浮き彫りになった。
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自習と復習ばかり「休校になって以来、先生からは電話の1本もない」
「これが勉強って言えるのか、正直不安なんですよ。娘の通う中学ではオンライン授業なんて気配もないし、出された課題は量だけ多くて質的にはどうかと思う」
東京市部に住む母親(39歳)は、長女(14歳)が通う公立中学校への不満をあらわにした。3年生で受験を控えているにもかかわらず、始業式に1時間登校しただけ。教科書と休校中の学習予定表が配布されたが、その内容はお粗末だ。
5教科のうち、課題プリントは数学の1枚のみ。残りの4教科は前年、つまり2年生時の教科書とワーク(問題集)を復習する。
たとえば社会はワークを繰り返し解いて自分で丸を付ける。一見勉強しているふうでも、すでに使い終えたものだから過去の解答をなぞる始末。英語は教科書の英文をひたすらノートに書き写すが、100ページもあるから大変な量だ。いずれも労力の割に単調な作業の連続で、子どもはすぐに飽きてしまう。
「写経じゃないんだから、と思いますよ。隣の中学校ではホームページで週ごとの課題を公開しているのに、同じ学年で学習の差が広がれば受験にも影響が出る。緊急事態宣言という前代未聞の事態で、先生たちも大変なことはわかりますが、もうちょっとどうにかならないのと言いたいです」
同様の声は他の保護者からも上がる。公立小学校6年生の子どもを持つ母親(44歳)は、「休校になって以来、先生からは電話の1本もない」と嘆息した。
指示されたのは、やはり自習と復習だ。国語は新しい教科書を音読したり、新学年の目標を作文にしたりする。算数や理科、社会は5年生時の教科書を使った復習だ。課題の提出期限は「休校明け」だが、延長された場合の方針などは示されていない。