2019年5月1日に天皇陛下が御即位されて1年ーー。
新皇后の半生を徹底取材した決定版を140枚余の胸打つ写真とともに再構成した『皇后雅子さま物語 ビジュアル版』(文春ムック)から、令和の皇后のこれまでを特別公開します。
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2019年(令和元年)5月1日、皇太子殿下が126代天皇に即位され、雅子妃殿下は新皇后となられた。
雨上がりの道を、赤坂御所から皇居・宮殿に向かう車の中で、皇后は満面の笑顔を浮かべられていた。
雨上がりと笑顔。その光景は、1993年(平成5年)のご成婚パレードを彷彿とさせるものだった。
あの日も大勢の人たちが沿道に人垣を作って、皇太子同妃両殿下(当時)を一目見ようと待機していた。そこへ輝くティアラと白い花の付いたドレスに身を包まれた雅子妃が、半蔵門からの道を通り、オープンカーの中から手を振られた。沿道の人々から歓喜の声が上がった。興奮の余り泣き出す人もいた。まるで映画のワンシーンを観ているかのようだった。雅子妃の俯き加減ではにかんだ笑顔からは、昭和生まれの奥ゆかしさと親しみやすさが感じられた。
あのご成婚のパレードの笑顔はどこへ行ってしまったのか─。
その答えを求めて取材を続けてきた私にとって、即位の日の皇后の笑顔は印象深いものだった。
婚約会見と同じ「鮮やかなイエロー」のドレス
2019年5月4日。新天皇皇后として初の一般参賀も6回すべてにお出ましになり、笑顔で手を振られていた。お召し物の鶸(ひわ)色のドレスは、鮮やかなイエローにわずかに緑色が入った色合いで、婚約会見でお召しになっていたのも同じイエローだった。
婚約内定が報じられた時の小和田雅子さんは、新しい皇太子妃像を予感させた。
だが、婚約会見でのイエローの帽子とワンピースの雅子さまは、既に皇室の顔になっていた。
不安は現実のものとなり、雅子妃はお世継ぎ問題に悩まれ、愛子内親王殿下が誕生されてからはご病気になられた。