「今週、ある業者が1箱1000円で100万枚弱を輸入しました。大手小売業者に納入するようです。コストと利益を乗せて納入しても1箱2000円程度で店頭に並ぶかもしれません」(同)
マスクを買い上げていた中国政府の動向に変化
マスク不足が起きた一因は、中国政府が工場からマスクを買い上げ、日本メーカーの輸入契約分まで出荷を止めたからとされる。ブローカーがそれでも一部を横流しして日本で少量が高額流通していたが、中国政府はその後もマスク管理を強め、4月1日以降は輸出を政府認可制にした。マスク輸入はさらに減るという見方もあった。
「中国でコロナ禍が起きた時、従来のマスク工場に加えて新たに工場が次々と立ち上がり、生産数が飛躍的に増えました。しかしコロナ禍が落ち着いて需要が減り、在庫が積み上がりはじめているようです。政府認可のもとで輸出するには、政府に必要書類を提出する必要があるのですが、業者間で書類を融通してすり抜けることができるらしく、輸出が増えて相場が下がりはじめているようです」(同)
品質が玉石混交
問題は品質。新しいマスク工場は政府管理の行き届かないところが多く、激安の粗悪品を輸出しているところがあるという。
「仕様に比べて生地が薄かったり、ゴムがすぐに切れたりする粗悪品をつかまされた業者もいます。新しい工場でも政府の目が届いているところはきちんとしたマスクが多いのですが、中には怪しいものもあり、見た目では分かりません。高品質のものでも仕入れ値が下がりはじめていますが、激安品に引きずられて品質を落とす恐れもある。中国政府は粗悪品の輸出を止めて欲しい」(同)
この“不定期ルート”での輸入は品質や数量の確保が難しく、大手チェーンは手を出していない。その代わりに数多の業者が参入し、仕入れ値も売り値もバラバラ、品質に良し悪しがある。男性は急な値崩れを警戒して1回数万枚の輸入に抑えているが、賭けに出て大量輸入する業者もいる。その様は「戦後の闇市のようです」(同)という。