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シャープのマスク販売開始も、国内生産は増えない?

 日本政府は供給を増やすために国内企業に補助金を出してマスク生産を後押しし、複数の大手企業も参入した。 

 生産に目処が立った電機大手シャープは4月21日に自社サイトで発売したが、希望者が殺到したため抽選に切り替え、27日午前0時に改めて受付をはじめた。1回目は1人1箱限定で3万箱を予定していたが、1万箱を上積み。価格は消費税と送料を含めて1箱3938円になる。 

 申し込みは24時間で約470万人。決して安くない価格に殺到するのは信用力の高さが伺えるが、今後、国内生産が増えるとは限らない。 

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シャープが自社サイトを通じて個人向けに販売するマスク。[同社提供]©時事通信社

「高機能品や高級品を除けば、これまでマスクは1箱300円~500円で販売され、日本の企業が生産しても利益の出る商品ではありませんでした。緊急時だからこそ生産に着手する企業が出てきましたが、輸入が回復して価格が落ちると分かれば、高額品の少量生産を続けるところはあっても、本格的に大量生産に踏み切る企業は出てこないでしょう」(経済部記者) 

 マスクは8割を輸入に頼ってきた。マスク不足が起きて中国への依存度の高さが問題視され、今はその経済構造を見直す機会でもあるが、なし崩しに輸入が増えて価格が下がれば元に戻るだけの可能性がある。