安倍首相が緊急事態宣言を発令して3回目の日曜日。
東京の新橋周辺は飲食店の多くが休業して閑散としていたが、ドラッグストアは軒並み営業して3店舗が不織布マスクを販売していた。
売り子がビルの前で「1枚70円です」
A店は1人1点に限り、10枚入り1097円で販売(価格は税込み、以下同)。
「1箱(50枚入り)300円とか400円で販売できる通常ルートでは入って来ませんが、色々なルートで中国から入って来るようになりました。(価格は)まだまだ高いのですが、納入数は増えています」(男性店員)
B店は中国のおむつメーカー製マスクを英語表記の箱のまま、1箱3828円で店頭販売していた(1人2点まで)。往来は少ないが足を止める人は多く、夕方には店頭からマスクが消えていた。C店は子供向け不織布マスクをレジ前のワゴンに積み、1箱547円で販売していた。
翌月曜日の日中は、「マスクあります」の紙を掲げた若い男性がニュー新橋ビルの前に立っていた。「1枚70円です(1箱3850円)。色々な種類があるので見に来て下さい」
連休明けに価格が一気に下がる可能性
高額のマスクが市中に出てきたが、実は、この1、2週間で中国からの仕入れ値が下がり、連休明けにも価格が一気に下がって流通する可能性が出てきたという。
物流業の40代男性は3月からマスク輸入をはじめた。もともと取引のあった中国のエージェントを通じ、1週間に1回程度数万枚を輸入して、従業員に配布する企業に納入している。
「前回の仕入れ値は1箱2000円台後半でしたが、先週輸入した4万枚は1箱2000円台半ばまで落ちました。中国のエージェントは『次は2000円以下に下げられる』と言っているし、別のエージェントからは1箱1000円台前半で提示されましたが、それは品質が担保できないために断りました」(男性)
男性の場合は小規模の輸入だが、輸入量が多ければ仕入れ値はさらに下がっているという。