今次コロナ禍では、社会のあらゆる階層を巻き込んだ大きな悪影響が大波の如く押し寄せているのは自明である。にもかかわらず迷走するかに見える政府の対応に、これまで安倍首相を熱心に応援し続けてきた保守界隈にはいよいよ動揺がみられるようになっている。彼らは、ついに安倍全面批判に走るのだろうか?
「アホの集まりか」口火を切った百田氏の政権批判
今年1月に入って、中国湖北省発の新型コロナウイルスが猛威を振るいだすと、保守界隈の一部から早期の中国人入国禁止を求める声が上がった。「とにかく中国人を締め出せ。なぜ中国人を入国させるのか。そこまで経済優先なのか」と声高に主張し、その先鋒にいた象徴的存在が、いまや保守界隈の「重鎮」となった作家の百田尚樹氏である。
アメリカ政府は1月31日に厚生省のアザー長官がホワイトハウスの記者会見で公衆衛生上の緊急事態を宣言。武漢のある中国湖北省に滞在した自国民の隔離措置、ならびに過去2週間に中国に滞在した外国人の入国拒否などの措置を矢継ぎ早にとった。
百田氏はこの段になっても思い切った「対中隔離策」を採らない日本政府と安倍首相について〈安倍総理には危機管理能力が欠如しているのが明らかになった〉(1月30日Twitter投稿)と猛批判をくり返したのである。
その後、感染が拡大し、“アベノマスク”と海外からも呆れられた布マスク2枚配布が決まった際には、再び百田氏から、
〈一つの家庭に2枚の布マスク?なんやねん、それ。大臣が勢揃いして決めたのがそれかい!アホの集まりか。全世帯に郵便で2枚のマスクを配るって…。そんなことより、緊急事態宣言とか、消費税ゼロとか、金を配るとか、パチンコ店禁止とか、エイヤッ!とやることあるやろ。〉(4月1日Twitter投稿)
という声が上がるなど、これまで強力な安倍首相支持を続けていた保守界隈からの政権批判は、その後も大きく取り上げられるに至った。いまでは、コロナ禍で保守界隈の風向きも変わったのではないか、という指摘まで出ているのである。