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今回は30歳を過ぎている男性側の責任が大きいと思います

 SNSというのはつくづく罪な仕掛けです。反応が「いいね!」であったりコメントであったりするので、相手の存在が記号化されてしまう。その向こうに感情を持った人間がいるのだという感覚を、記号化が削いでしまう仕掛けです。なんと愚かな、と思えるでしょうが、そうさせてしまう要素がSNS自体にあるのです。

 

 また、脳が成熟していないという年齢的な要素もあるでしょう。さきに内田也哉子さんへの回答でも触れた、脳のDLPFC(背外側前頭前野)の問題でもあります。DLPFCは先々の損得を冷静に計算する機能をもつのですが、30歳ぐらいまでは未完成。彼女の年齢ではまだ成熟していません。

 SNSに書けばどうなるか、相手の妻の写真に「いいね!」を付ければどう思われるか、もしかしたらあまり予測できていない可能性があります。しかし、東出さんはもう30歳を過ぎていて、その機能は十分成熟しているはずです。今回は30歳を過ぎている男性側の責任が大きいと思います。

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 しかも、共演した映画を撮るに当たってはワークショップを重ね、本当の恋人同士のようになることを求められていたといいます。それなら大人が、これはリアルな恋ではない、ワークショップの続きなのだと教えてあげるべきでした。

 交際が始まったといわれる当時、唐田さんは19歳。それを深く理解できる状態ではないのですから。

続きは、「週刊文春WOMAN 2020春号」でお読みください。

なかののぶこ
1975年東京都生まれ。脳科学者。東日本国際大学特任教授。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピンに勤務。著書にベストセラーとなった『サイコパス』『不倫』(ともに文春新書)など。近刊に『空気を読む脳』(講談社+α新書)、『毒親』(ポプラ新書)など。

text:Atsuko Komine
illustrations:Ayumi Itakura