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いつもは“ツンデレ”なシンリンオオカミが……

 「とりあえず動物たちの様子を見に行ってみますか。今なら貸し切り状態ですから(笑)」という加藤園長の案内で、誰もいない園内を回ってみると、いつもより動物たちがこちらの存在に敏感に反応していることに気づく(札幌在住の筆者は、休園前はよく同園を訪れていた)。

 冒頭のオオワシもそうだが、例えばシンリンオオカミの「ジェイ(♂)」。15歳という高齢ながら威風堂々たるたたずまいで、道内のみならず本州からもわざわざ訪ねてくる人がいるほどの人気者だが、普段はわりとそっけない。ジェイにあてがわれたオオカミ舎のスペースは広く、来園者がいるガラスの方へ近づいてきたかと思うと、クルリと反転して、小高い丘の斜面をかけのぼっていくといった“ツンデレ”ぶりで、なかなか目前では見られないのだ。

 ところがこの日、遠くで寝そべっていたジェイは、人間たちがやってくるのを見ると身を起こして、駆け寄ってきた。筆者の隣に飼育員の高岡さんの姿を見つけたからだろうが、それでも、ガラス越しにこちらをじっと見ているのは珍しい。高岡さんが語る。

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シンリンオオカミのジェイと高岡さん

「確かに私たちの制服に反応しているとは思うんですが、休園中は、例えば業者の方とかが通りかかっても、見に来ますね。誰か来るのをずっと待っているみたいです」

 基本的には、ジェイの生活に大きな変化はないというが、ちょっとした変化はある。

「(日向ぼっこをしているジェイを見ながら)そういえば、お客さんがたくさんいるときは、こんな風にガラスに近いところでは、あんまりくつろいだり、眠ったりはしなかったですね。お客さんに『ジェイ、今、いないんですか?』と訊かれるときはたいてい、スロープの奥とか、丘の上とか、人目につきにくいところで爆睡しているんです(笑)。休園中は結構、今までとは違う場所で日向ぼっこしたり、寝たりしていますね」(同前)

珍しい場所で日向ぼっこ

マイペースすぎるホッキョクグマ

 一方で、ジェイと並ぶ円山動物園の人気者にホッキョクグマの「リラ(♀・5歳)」がいる。透明なトンネルの中から、水中で泳ぐリラの姿を見ることができる展示が評判で、普段は多くの人でにぎわうホッキョクグマ館を訪れると、リラはいかにもリラックスした様子で寝そべっていた。地べたに顎をつけ、おしりを突き出して寝そべる様子は、まるで「すべり台」のようだ。……いつもこんなにリラックスしてましたっけ?

まるで「すべり台」のようなホッキョクグマのリラ
ごろりん

「実はいつもと同じですね。マイペースなんです」と笑うのは、飼育員の井本さん。休園中もこれといって、変わった様子はないという。

「もともと、人の目線はあまり気にならないようですね。特にお客さんがいないから、といって変化はないです。むしろ、2月から4月にかけては発情期なので、そのせいでよく歩きまわったり、活動的になっているという要素の方が大きいかもしれません」(同前)

リラと井本さん