新型コロナウイルスの感染者数は今なお増え続けているが、ウイルスの猛威が襲いかかるのは人間だけではない。動物たちも生命の危機に瀕しているのだ。
「ドイツ・ノイミュンスター市の動物園は、新型コロナウイルスによって休園に追い込まれましたが、経営危機の対策として、『最悪の場合』、動物の一部を殺処分して、大型肉食獣などに与える餌にすることを検討せざるを得なくなりました。入場料収入がゼロとなり、飼料も底をつきそうな状態で、寄付金のみで操業している状態です。
殺処分リストにあるのはヤギやシカなどで、食べさせるのはオオヤマネコやワシ、ホッキョクグマなど。餌として与えられることになります。幸い、同動物園は4月20日より再開の見通しが立った。ただ、日本でも動物への様々な“コロナ被害”はこれから始まるのかも知れません」(動物保護活動関係者)
この“ドイツ動物園殺処分リスト”のニュースは世界中で話題となった。日本でも多くの動物園が休業に入ったが、ドイツの動物園のような例は今のところ見られない。
「危惧すべきは猫カフェでしょう。大手猫カフェは多くが休業に入りました。でも、猫たちへの餌代や医療費はかかる。ドイツの動物園と同じ状況なのです。猫カフェは入場料でもっているわけで、休業と外出自粛であっという間に経営破綻してしまう。そうなったときに猫たちの命が危険に晒される可能性は高くなると思います」(同前)
不特定多数の人間が猫たちと接触する「猫カフェ」。都内の大手猫カフェには休業に入った店が多いが、全国には600店舗以上の猫カフェがあり、個人経営の店を中心に営業を続けている店舗も少なくない。コロナ禍の猫カフェを取材した。
「猫をちゃんと守ろうとしたら…」
神奈川県にある保護猫カフェ「和猫かふぇ」では、徹底的なコロナ対策を行ってきた。保護猫カフェとは、一時的に保護されている捨て猫や野良猫などの「保護猫」と触れ合える猫カフェのことだ。譲渡(里親マッチング)を行っている店が多く、新しい飼い主探しの場となっている。
「和猫かふぇ」は当初、HPでコロナ対策についてこう掲示していた。
《猫達を感染症から守る目的で、開店当初から毎日の店内清掃には次亜塩素系消毒薬を使用し、次亜塩素酸入り加湿機とオゾン発生機を使用して空気の殺菌清浄を行なっております。これは、インフルエンザ、ノロウイルス、新型コロナウイルスにも効果があると言われているものです》
だが、店主の柳澤由美子氏はそれでも不安を感じ、3月末での休業を決断した。