「手洗い」徹底できていない店も
だが、取材班が4月10日~17日に複数の猫カフェを取材してみると、客の「手洗い」すら徹底できていないという店がいくつもあった。
都内で複数の店舗を展開している某大手チェーンの猫カフェでは、入室時には店員が「アルコール消毒をお願いします」と呼びかけていた。だが、特に厳しく義務づけられてはおらず、いい加減にアルコールで指先を少し濡らす程度でも咎められることはない。なにより、ウイルス対策に効果があると言われる、流水をつかった手洗いを指示されることはなかった。コロナに負けるなと有名タレントたちが「正しい手の洗い方」をYouTubeの動画で広く啓蒙している時節柄を考えれば、店舗側の危機感はかなり低いと言わざるを得ない。
猫たちが待機する大部屋に案内されると、扉の前には20匹を超える猫たちが待ち構えていた。来客が少ないため、久しぶりにエサがもらえると集まっているのだ。女性従業員にコロナ対策を聞くと、「店内が過密状態にならないように一応、入店人数を通常の半分以下に制限しています」。あくまでヒトヒト感染についての配慮のみだった。
客はマスク着用が基本だが、店員はフロアにいないため、マスクを外しても注意されることはない。
ネコを抱いたり撫でたりするのも、通常通り可能。オプションとして、猫たちにおやつを直接与えることができるのもいつも通り。素手でスプーンを使って餌を与えるのだが、見守るスタッフもいない。ネコは客の手を舐めたりもしている。
もう一軒、個人経営の老舗の猫カフェを訪ねた。30平米ほどのビルの一室に、20匹近い保護猫たちがくつろいでいた。
1人で経営しているという女性店主に、猫が新型コロナウイルスに感染しないために、どんな対策をとっているかを聞いた。
「猫が感染するのはレアケースだと思うのですが、対策として室内の換気をして、お客さんにはアルコール消毒による手洗い、スリッパへのはきかえを徹底してもらっています。うちでは元々、致死率が高い『猫パルボウイルス』への感染を避けるため、ウイルス対策には力を入れていました。無害な次亜塩素酸水で毎日部屋を消毒していて、あらゆるウイルス除去に有効なオゾン発生機を3年前から3台設置しています」
個人経営の小さな店舗では、それ以上の対策は難しいのが現実だという。1軒目の大手猫カフェに比べれば、店員の目が行き届いている。だが、残念ながら、流水での手洗いは義務づけられていなかった。手のアルコール消毒と、靴からスリッパへのはきかえ、マスク着用は徹底されていた。