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SPA!の遠藤修哉という男とは?

 そう言えば、以前、彼に取材されたことがあった。あれは昨年の開幕直前のことだった。4月2日号にて大々的に展開された「プロ野球開幕スペシャル」において、彼が聞き役となって、インタビューを受けたのだ。その際に彼は缶ビール6缶セットを手土産に持参する心遣いを見せた。気遣いのある男、それが遠藤なのだ。

 このときは3年目を迎えた文春野球についての抱負や展望を語ったのだが、遠藤は熱心に「文春野球の楽しさ、難しさ」「文春野球においてHITを集めやすい内容」「年間を戦い抜く戦略」を質問していた。……今から思えば、彼はこのときすでに「文春野球ヤクルト2代目監督」の座を狙っていたのであろう。あなどれない男、それが遠藤なのだ。

週刊SPA! 2019年4月2日号「プロ野球開幕スペシャル」

 そうそう、あれは、今年の初めのことだった。文春野球フロント組が彼に白羽の矢を立て、水面下での交渉を行っていた頃、遠藤から突然の連絡があった。「ちょっと、ご相談したいことがあります。もしよかったら、軽くお酒でも呑みませんか?」、よっぽどのことがない限り、酒の誘いを断ることはない。手土産の一件といい、「酒をチラつかせれば長谷川は篭絡できる」ということが見透かされている。実に戦略的な男、それが遠藤なのだ。

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 酒の席では、監督受諾のあいさつが済むやいなや矢継ぎ早に質問を受けた。僕は聞かれるままに、年間を通して戦い抜くための心構えを包み隠さずに話した。遠藤からは彼なりの戦略、執筆者の候補、取り扱いたいテーマ、悲願の日本一奪取に向けた意気込みが披歴された。そのあまりの熱意に負けて、僕は文春野球の奥義を記した門外不出の「長谷川ノート」を彼に託すことを決めた。このノートがあれば何も恐れることはない。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしだ。開幕前にすでに大船に乗った男、それが遠藤なのだ。

 そこで、読者の方々に少しでも彼の人となりを知っていただきたく、僕もこっそり参加したZoomで行われた「緊急エア記者会見」をご披露しよう。以下、遠藤の意気込みと抱負を聞いてほしい。

記者「監督就任のオファーを受けたのはいつ?」

遠藤「2月中旬、ちょうど沖縄キャンプ取材から帰京したあたり、村瀬コミッショナーから打診を受けました。長谷川(前)監督が勇退されるという噂は聞いていたんですが、まさか自分がお話をいただく立場になるとは……」

記者「初年度から参加、そして2年連続リーグ優勝、文春野球の礎を作ったといっても過言ではない前監督からバトンを引き継ぐ心境は」

遠藤「初年度からいちファンとして文春野球を楽しみ、HITを押し続けてきた身としては身に余る光栄です。長谷川前監督の偉業に泥を塗らないように精進いたします」

記者「どういった監督像、そして采配を目指すのか」

遠藤「私が前面に出るというよりも黒子に徹し、書き手である選手には自由奔放に動いてもらいたい。そのためにも多彩な書き手を用意する予定ですし、もちろん前監督には“生涯一保守”としてスワローズの打席に立ってもらいます」

長谷川「『一勝二敗の勝者論』という先人が著した“バイブル”もありますから、気負わず構えてもらいたいですね(笑)」

記者「週刊SPA!と言えば、ヤクルトの株主でもあるフジサンケイグループの子会社、扶桑社の発行だが、今回の人事はグループの密接な関係ゆえか?」

遠藤「私は決してフジサンケイグループの密使でもなく、監督就任に関しての密約もありません。密接と言えば2015年のサンケイスポーツ発刊の『2015東京ヤクルトスワローズセ・リーグ制覇ー燕戦士 激闘の足跡』が優待価格の500円引きで手に入ったくらいでしょうか。逆に、同じ週刊誌である文春さんと“密着”したとそしりを受けないか心配です」

長谷川「皆さんがお考えのような、【密会】【密談】【密約】の“3密”はないということです!」

記者「最後に抱負を」

遠藤「なかなかNPBの開幕が見えないなか、先に開幕する文春野球には、プロ野球の火を消さないという使命を負っていると思います。とくにスワローズは高津新監督の下での新シーズンを迎えます。苦しい生活の中、少しでもファンの皆さんに喜んでいただいて、かつ選手にはエールを送れるような“采配”を目指します。1年間応燕どうぞよろしくおねがいいたします」

 ……以上、遠藤が監督に内定してからの顛末である。4年目を迎えた文春野球。今年のヤクルトは「週刊文春」と「週刊SPA!」という異色のコラボレートが実現することになるだろう。その懸け橋となるのが遠藤だ。

 古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう。遠藤新監督の下、文春野球ヤクルトは始動する――。

週刊SPA! のインタビュー記事。ちなみにこの横にはロッテ・梶原紀章広報が語る「ZOZOマリン大改造」がある

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