Appleから新しい「iPhone SE」が発売されました。かつてのiPhone 8の外観そのままに、CPUなどを現行水準にアップグレードし、かつ実売で4万円台という、iPhone史上に残るであろうリーズナブルな価格設定のモデルです。
新型コロナウイルスの影響もあってか、各携帯電話会社からの発売は5月11日に延期されましたが、4月下旬に発売されたSIMフリー版をいち早く購入したユーザからの評価も高いようです。今回は筆者が購入したSIMフリー版(128GB)をもとに、初代iPhone SEと比べてどのような特徴があるのか、果たして買いなのかどうかをチェックします。
初代iPhone SEの後継では(残念ながら)ありません
iPhone SEの後継に相当する「廉価版iPhone」の噂は、半年以上前からありました。その時点ですでに、ボディは初代iPhoneではなく、iPhone 8を流用したデザインであるとの情報が流れていましたが、結果的にその予想が当たっていたことになります。
初代iPhone SEのサイズ感にこだわってきた筆者からすると、このことは非常に残念です。というのも、初代iPhone SEは4インチというコンパクトな画面サイズに加えて、側面が垂直にカットされた持ちやすい形状で、仰向けに寝転がった状態で、片手で操作することも可能だったからです。
今回のiPhone SEは、4.7インチのiPhone 8のデザインがそのまま流用されており、側面も丸みを帯びた加工になっています。そのため初代iPhone SEのように両側面を挟んで持ったり、表裏を挟んで片手で保持することができません。特に仰向けで操作するには、スマホリングをつけるなど、何らかの工夫が必要になります。
そもそも初代iPhone SE自体、iPhone 5sのボディの流用であり、そのベースモデルは2010年発売のiPhone 4にまでさかのぼります。そうした古い基本設計のボディに最新のテクノロジーを詰め込むのが無理難題なのは容易に想像できます。何が何でもこのサイズに詰め込もうとして新規設計を強いられて、価格が10万オーバーになったりすると、それはそれで困りものです。
従ってやり方自体は間違いではないと思うのですが、今回の新モデルの登場により、4インチサイズのiPhoneの系譜が、事実上絶たれてしまったのは残念です。筆者自身、今回新しいiPhone SEを購入しつつも、バッテリーの劣化を除けば今でも十分使える初代iPhone SEを引き続き併用するか否か、いまだに迷っていたりもします。