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【ソフトバンク】大分のバケモノ・今宮健太がさらなるバケモノと戦った夏の記憶

文春野球コラム ペナントレース2017【共通テーマ:高校野球】

2017/08/16
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「じぶん史上、最高の夏」

 今年の甲子園のキャッチフレーズ。ビシッと決めてる感じがかっこよくて私は大好き! 全国から集まる相当な応募数の中から選ばれるキャッチフレーズコンクール。私も高校一年生の時応募したな〜。なんて書いたっけな……?

 今だったら、〝みなみを甲子園につれてって〟って私情はさみまくりのフレーズばかりが頭に浮かぶけど、絶対採用されないだろうな。そもそも高校生限定のコンクールだから無理なんだけどね。

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 甲子園が盛り上がっている真っ只中ですが、早くも来年のキャッチフレーズの応募が始まっています。応募できるのは1人1点。15文字以内。皆さんだったら、なんて書きますか?

 甲子園には出場出来ないけど高校野球が大好きな学生さんはぜひ☆

センバツでバケモノに遭遇した今宮健太

 8年前、「〝夏〟という名の宝物」という、THE 青春! ポカリを一気飲みしたくなる爽やかなキャッチフレーズで行われた2009年の甲子園。

 優勝したのは中京大中京高校だけど、一番印象に残っているのは、現広島の堂林翔太選手と磯村嘉孝捕手のバッテリーでも、メディアから大注目だった現西武の花巻東高・菊池雄星投手でもなく、大分・明豊高校。その中心にいた現ソフトバンクホークスの今宮健太選手でした。

2009年夏の甲子園、延長10回表花巻東2死二塁、川村悠真(左)に決勝の適時打を打たれた明豊の今宮健太 ©時事通信社

 高校通算62本塁打、内野手ながら投手としてマウンドに立てばMAX154キロをマーク。あの小柄な体型のどこにそんなパワーが……! 明豊に入学したての今宮選手のプレーを目の当たりにした野球部の先輩は「エグい奴が入って来た。あいつがおったら本気で甲子園行けるかもってマジで思った」と言っていたそうです。

 春夏合わせて3度、甲子園に出場した今宮選手。先輩の予言通り、1年生でショートのレギュラーに。秋にはチーム事情で投手を任されると九州大会の決勝で沖縄尚学高を相手に1失点の完投勝利。明豊高校初のセンバツの切符を手にしました。しかも打っては打率.540。バケモノです。

 そんなバケモノがさらに上をいくバケモノに遭遇しちゃうんです。それが花巻東の菊池雄星投手。3年の春のセンバツ2回戦であたり、チャンスを作るも大事な所で打てずに完封負け。

“大分県ではどこにも負けない”と思っていた今宮少年が岩手の超ド級のキレキレピッチャーと出会って心ごとコテンパンにやられるんです。

 そこから頭の中は花巻東のことばかり。菊池攻略に向けて特訓の毎日。

 センバツで負けてから甲子園までのわずか4ヶ月という期間で放ったホームランは、なんと32本! 3年間の通算の約半分をそこで叩き出し、特訓の成果がハッッキリと見てわかる数字。本当に強い想いはこんなにも人を強くさせるんだ。とトリハダものでした。

 高校最後の甲子園の舞台で菊池投手と対戦するんだ。そしたら今度こそ……! それまでは何があっても負けられない。そんな強い想いをチーム一丸で掲げて甲子園球場に乗り込み、たくさんの奇跡と執念を見せました。

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