文春オンライン

2020/05/19

 これまでは資金面の心配をせず、ビジネスを拡大させてきていたスタートアップでも、資金が集まらずに財務が悪化し、倒産する企業が急増するでしょう。「赤字覚悟のスケール期」を投資家や金融機関が許さなくなり、黒字を維持しながら事業を拡大していくバランス経営が求められるようになります。

 そんな時代の足音が、確実に近づいています。

©︎iStock.com

 私自身、空前のバブル景気がはじけた1991年に起業して以来、数多くの浮き沈みを肌身で感じながら生きてきました。1997年の国内金融危機、2000年のドットコムバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックと、そのすべてのタイミングにおいて、ひとりの起業家として倒産寸前の危機を実体験してきました。

 自らが熱いヤカンにさわって、その痛みから多くを学んできたので、この収縮していく時代の空気とこの先の流れを、デジャブのように感じています。

 もちろん、スタートアップへの投資は時代とともに洗練されてきているので、ドットコムバブルの崩壊ほど、急激で、強烈なインパクトではないとしても、スタートアップを取り巻くバブルは確実に終わり、新しい季節、つまりは冬の時代に入ろうとしています。

“自然淘汰の波”が2、3年続いたあとは……

 厳しい空気を感じながらも、もう少し冷静に、長い目でビジネス環境を眺めてみましよう。

 時代は状に循環するものです。じりじりと上昇し、一瞬で崩壊する。そして進化する。このサイクルの繰り返しです。

 しばらくは厳冬の時代が来るでしょう。スタートアップに対する出資は極めて厳しいものとなり、冷酷な自然淘汰の波が2~3年ほどは続くでしょう。しかし、その時期を越えると、生き残った投資家たちは新たな出資先を探し、生き残った起業家に大きなお金が集まり、再びバブルの波に乗って、ビジネスを急成長させる企業が登場するでしょう。

 ビジネスにとって、あるいは起業家にとって「拡大や成長」というのは、資本主義の持つ宿命であり、「スケールアップすることが正しい道である」というビジネスマインドから逃れることは困難です。

 結果として、またもやマネーゲームの波に吞まれていくのです。

 ただし、21世紀に入り、それとは異なる新しい価値観、新しい起業のカタチが芽生え始めてきたようです。

 新著『業界破壊企業』の締めくくりでは、これまでの「スケールアップを目指した野心的な起業」とは異なる、「幸せの連鎖を生むサステナブルな起業」、ハッピーイノベーションを取り上げています。

【続き】外出制限中に売上66%増 急成長「在宅フィットネス」“ペロトン”を知っているか? を読む)

この記事の写真(6枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー