文春オンライン

“元凶”黒川検事長は林氏と共倒れか 検察内部で「第3の男」が浮上

2020/05/18

genre : ニュース, 社会

note

 東京地検特捜部長経験者で、特捜部長時代は大王製紙の特別背任事件やオリンパスの損失隠し事件を手がけている。

堺徹氏 ©時事通信社

「仏の堺」vs.「甲斐の壁」

 特捜部の副部長時代には、防衛装備品の調達を巡る贈収賄事件で防衛事務次官を逮捕している。特捜部長というと、「鬼の」という形容詞を付けたくなるが、堺氏はむしろ「仏」をイメージさせる温厚なタイプだ。

 あるいは、高松高検検事長の甲斐行夫氏。法務省在籍期間が長く、同省刑事局刑事課長、同局総務課長とエリートコースを歩み、刑事裁判への被害者参加制度や少年法改正などを担った刑事法制のプロだ。

ADVERTISEMENT

甲斐行夫氏 ©時事通信社

 いわゆる「捜査現場派」ではなく「赤レンガ派」(法務省在籍期間が長い検事のこと)だが、最高検刑事部長、東京地検検事正という要職を経て、現職に至っている。明晰な頭脳をうかがわせる鋭い眼光で、法制のプロだけに特捜部事件でも決裁ラインの「甲斐の壁」をクリアすれば、無罪になることはないと評された。

 他に、公安調査庁長官の中川清明氏。法務省秘書課長経験者で、最高検公安部長などを務めている。「鬼平犯科帳」を愛する人情の厚さで、慕う同僚や部下も多い。最近では、オウム真理教による地下鉄サリン事件から25年という契機に各メディアの取材に応じるなどしており、露出度も高い。

 いずれも5月現在、60~61歳で定年を延長しなければならないような問題も生じない。「第3の男」は果たして、この中から現れるのか。