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「だったら、お前がこの店を辞めて出ていけ」
とにかくこのやり取りを終わらせなければ、という気持ちで辛抱できなくなり、思わず言ってしまったと川上さんは振り返る。
客の反応は、
「だったら、お前がこの店を辞めて出ていけ」
というものだった。
「お前が来るなって言ったって、俺はこの店を使わなきゃいけないんだから、お前が辞めろ」
「いや、僕が責任者なんで、そういうわけにいきません」
川上さんは思い切って言い返し、
「どうしたら許してもらえるんですか」
と尋ねると、いきなり、
「100万円払え」
と言われた。「いままでこの店で使った金額を返せ」というのだ。半年で200万円使ったが、半分の100万円でいいと言う。
「あなたが言いたいことはわかりました。で、どうしたらいいんですか」
重ねて尋ねると、「ここに振り込め」と口座番号を言う。
「慰謝料として100万寄越せ」
そんな理屈が通るはずもない。買った商品の現物がなければ、返金できないのは常識だ。しかも半年で200万円といえば、毎日来て1万1000円ずつ使った計算になるから、到底ありえない金額。つまり、100万円返せと主張する根拠はない。
「だったら、慰謝料として100万寄越せ」
と、言い分は変わった。
その日を境に、来店はなくなった。代わりに一日一回、店へ電話がかかるようになった。
「いま、ほかの店にいるんだけど、ここの接客はちゃんとしてるぞ!」
そして、
「100万円はどうなった?」
という話になる。
「オレがどういう人間か、わかってるだろう」
というセリフもあったが、暴力団関係者には見えなかったから、ただの脅しだと思われた。