会社でキーボードを叩きながら、ふとした瞬間に「職場に猫がいたら、どんなに楽しいだろう」と夢を抱いた経験はないだろうか。オフィスの中を猫がテクテク歩き、デスクやイスの上で丸くなって眠る……。猫好きにとってはユートピアだろう。そんな会社が実在する。オフィスにお邪魔して、社員猫として活躍するまる美さんに会ってきた。(取材・文=真島加代/清談社)

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広すぎる猫社員の行動範囲

 運用型広告のコンサルティングを手がける株式会社オーリーズ。同社には、2015年に入社した看板猫・まる美さんが在籍している。まる美さんは、まんまるな瞳とピンクの鼻がチャーミングなブリティッシュショートヘアの女の子だ。

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ふわっふわの毛並み!  美猫がすぎる……

「まる美は、日中は執務スペース内で自由に過ごしています。デスクの上で寝転がったり、窓の外を眺めたり、本当に自由気まま。まる美はとてもおとなしい性格で、壁で爪をといだりコードをかじったりもしないので、オフィス向きの猫だと思います。社長、副社長のイスを陣取っている日もありますね」

「パパ(副社長)早く帰って来ないかニャ」(公式インスタグラムより)

 そう話すのは、広報担当の石高志保さん。ちなみに、まる美さんは石高さんよりも社歴が長く、すでに先輩社員として入社していたそう。「会社選びの決め手になったわけではないが、大きなプラスポイントになった」と石高さんは振り返る。

「入社前に会社で猫を飼っている、と聞いたときは『そんな会社があるんだ!』と感動しました。個人的には犬好きだったのですが、まる美と仕事をするうちに猫派になりました(笑)。人懐っこいタイプではないので、そっけないときもあるけれど、そこが彼女の魅力ですね」

デスクの下もお気に入り

 なかには「まる美がいるかぎり、この会社をやめられない!」と話す女性社員もいるという。

「猫好きな社員が自発的にごはんをあげていて、定期健診の通院はバックオフィス担当者が行っています。中には猫アレルギーの社員もいますが、彼らからまる美に近づくことはないし、まる美もあえて近くには行かないのでお互いに適度な距離を保っていますね。ただ、自分が猫アレルギーだとわかっていても、まる美が目の前を通ると触ってしまうみたい。近くにいると触りたくなっちゃうんですよね……」

「まる美は人見知りなのですが、今日はサービス精神旺盛ですね!」(石高さん)

 社員たちは、業務連絡に使っているコミュニケーションツール・Slack上に「まる美チャンネル」というまる美さんの情報共有専用のチャットスペースを作成し、オフィスで撮影した写真や動画を共有しているという。「忙しくてまる美と遊べないときは、チャンネルを見て癒やされています(笑)」と、石高さん。

「まるちゃん、カサカサするものが好きなようです」(公式インスタグラムより)

「業務上、パソコンに向かって黙々と仕事をすることが多く、オフィスが静かなのですが、まる美のおかげで社員同士の会話が増えました。まる美が鳴いたり走り回ったりすると、みんな手を止めて見守ったりして、空気が和らぎます。社員で飲み会をするときも、まる美の話題が尽きません」

 そんな“猫社員・まる美”のうわさは、社外にも広がり「まる美ちゃんに会いたい!」と、取引先が来訪を希望することもあるそうだ。