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品質を判断できる表示がないマスクも

 品質の良し悪しが判断できないものも多い。都心の繁華街で営業している小規模ドラッグストアの店員はこう打ち明ける。

「連休明けは入荷が増え、この1週間は2種類のマスクを販売しています。5枚300円のマスクは品質がよく、お勧めです。もう1つはそれより若干安くしていますが、生地が薄く、しかも人によって肌がかぶれる恐れがある。大きな声では言えませんが、お勧めできません」

©iStock.com

 品質を判断する材料としては、BFE(細菌ろ過効率)やVFE(ウイルスろ過効率)等が99%と表示されているものや、「全国マスク工業会」などの認証マークがある。

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 しかし小規模ドラッグストアに並んだ2種類のマスクはどちらも表示が無く、見た目では分からない。品質は価格に比例もせず、前述の5000円超のマスクにも表示は無かった。

「中国でCE(欧州の安全基準認証)を取っているマスク工場は数十しかないと言われるのに、中国の業者は皆『CEを取ってます』と平気で言ってくるし、ウイルスカット率99%の表記も勝手に付けている可能性があり、まったく信用できないのです」(前出・物流業の男性)

 この値崩れは、しかし数カ月先は分からないという。

「中国で新たに立ち上がったマスク工場は数千と言われます。最初は中国語や英語のパッケージで輸出して来ましたが、すぐに即席の日本語のパッケージを作りはじめ、どんどん出して来ている。値崩れしているため在庫を抱えれば損失が出る可能性が大きく、叩き売りしているのです」(業界関係者)

今後のマスク販売の見通しは

 値崩れすれば利益を上げることが難しくなり、新たな工場が早々に淘汰される可能性が出てきたという。叩き売りというのは長続きするものではない。

「今後1箱1000円台まで落ちると思いますが、叩き売りしている在庫がなくなり、日本の自粛解除でマスク需要が増えれば価格が再び上がる可能性があります」(同)。

 

 そして今の叩き売りの先に、品質の保証されたマスクを誰もが1箱500円で買える光景は見えない。

「種々雑多な人たちが参入し、値段が乱高下して、粗悪品が混じる今の輸入マスクは、これまで私たちが扱ってきたマスクとはまったく別物です」

 1000店を超える大手ドラッグストアの担当者はこう切り捨て、従来流通してきたマスクの供給見通しを以下のように話す。

「例年のマスク需要は冬とその次の春が山になり、5月以降はガクンと落ちます。その需要曲線を見ながら半年以上前に販売数を決めているため、もともとすぐに対応できるものではありません。コロナ問題がこのまま終息することを前提にしても、これまで通り店頭にマスクが並ぶまでには、早くても年内一杯かかるでしょう。

 世界的に需要が増え、原料となる不織布の価格が上がり、マスクの値上がりが危惧されていますが、その影響を受けたとしても、これまで50枚500円で販売していたものが今度の冬に1000円、2000円に上がることはありません」