政府が大見得を切ってしまい、安倍晋三さんまでもが「今月(5月)中の承認を目指す」と啖呵を切ってしまったコロナウイルス向け治療薬(という触れ込みで報じてきた)『アビガン(一般名:ファビピラビル)』について、やっぱりかというような報道が出てきました。

コロナ治療薬「特例的承認」に懸念 日本医師会有識者会議が声明 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200519/k00/00m/040/089000c

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明白になった「アビガンはコロナに効かない」という事実

 それも、本丸の日本医師会有識者会議が「アビガンがコロナウイルスに有効というエビデンスはない」と明言したことで、政府が掲げてきたコロナ対策の一角が崩れていたことが明確になったわけであります。死刑宣告まではいかずとも、まあ「長くはねえよ」と言われたようなもんですね。

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 もちろん、私個人としてもせっかくの薬剤が本当に効くのであれば、そのエビデンスの周知と共に早く承認して一人でも多くのコロナウイルス感染者や重症者を救い、一刻も早く通常の経済にして社会不安を取り去りたいとは願います。

 ただ、効かないのであれば話になりません。

アビガンは効かない|k_owaki
https://note.com/k_owaki/n/n41bb28b3c6b7

写真はイメージです ©iStock.com

 実際「おかしいぞ」という議論については、大脇幸志郎さんが4月の段階で記事にしています。大脇さん、本が出るそうです。お布施のつもりで謹んで購入したいと思います。

 で、いざ「どうもハードルが高いようだ」となって、いろいろ記事も出てきました。

アビガンを妄信する人が知らない不都合な真実(フロントラインプレス) - 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/351350

 フロントラインプレスがいい仕事をしているのでこれ以上ここでは書きませんが、要するにこういうことです。

〈アビガンは、本来の適応症である季節性インフルエンザに対する確かな有効性を証明できませんでした。そのうえ、副作用として催奇形性(胎児に奇形を及ぼす危険性)があったため、本来なら承認される条件を満たしていない薬だった。それなのに、「既存の薬とは違うメカニズムでウイルス増殖を抑えるので、ほかのすべての抗ウイルス薬が効かないような新型インフルエンザがはやったときに試してみる価値がある」という、極めて特殊な条件で承認されたのです。

 季節性インフルエンザにすら十分に効くことを証明できなかった薬を、承認薬という言葉でひとくくりにして、夢の新薬のように言うのはおかしいと思います〉(隈本邦彦・江戸川大学教授)