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「自分が想像している以上に深刻」と筒香

 菊池会長の意見に筒香も同意する。

「お手紙を頂いて、改めてというか、自分が想像している以上に深刻なことがまだあったんだなと思いました。ホントに想像以上でした。頂いた手紙には子供が殴られたり、過度な練習で肘を手術したりして、野球を辞めざるを得なくなったということが書かれたものもありました。野球をやっている子供たちも、また被害者になってしまっている。そういう環境を変えていかないと、子供たちが野球を始める機会すら失われていってしまう。そこを何とか改善していかなければならないなと思っています」

 筒香はこうしてシーズン中に母親たちから送られて来た何通もの手紙を試合や練習の合間に読み、その叫びや怒りを受け止めていた。その上でそういう母親たちの思いに共感した。自分はお母さんたちの味方だ――そのことを伝えたくて、筒香は手紙を渡してくれたのだと思う。

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 このオフには夢だった大リーグ挑戦が実現し、タンパベイ・レイズへの移籍が決定。現地時間の12月16日(日本時間17日)には、本拠地のあるフロリダ州セントピーターズバーグで入団発表も行われた。2020年の筒香は日本を離れ、米国での新たな戦いが始まることになる。

プレーヤーと野球人、それぞれの言葉

©文藝春秋

「もちろんシーズン中は自分のプレーを一番に考えて、チームのためにそこに集中することになります」

 プレーヤー筒香嘉智の言葉だ。

「ただ日本の野球界で長年育てて頂き、野球界に何か還元したいという思いは変わらない。可能性のある子供たちのために、野球界がより良くなるために、今後も変わらずに自分にできることを学び、シーズンオフには発信していきたいと思います。それは今までと変わらずにやっていくつもりです」

 野球人・筒香嘉智の言葉である。

 アメリカに渡ってもお母さんたちの手紙に綴られた苦しみとそして子供たちへの希望を決して忘れはしない。

 そのこともまた筒香が手紙をくれた母親たちに伝えたいことだった。