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休業要請を突っぱねて「店名公表」されたパチンコ店長が語る「それでも営業した理由」

コロナ時代にパチンコ業界がたどる道

2020/05/24
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パチンコのイメージ悪化がもたらす“影響”

 しかし、再三の休業要請があったこともあり、最後は臨時休業する判断をした。

「ウチはいいですけど、来るお客さんが悪く言われちゃうんでね。ただ、休業中も雇用は守らないといけないですから、従業員には出社してもらって、店内のメンテナンスとか、店舗周辺の清掃をやりました。これも地域貢献の一環ですね」

 地域貢献が目的だったとしても、今回のような強行営業でパチンコ店のイメージが悪くなってしまったことは否めない。

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 コロナ終息後にも業界に影響を与えると指摘するのは、パチンコ店のコンサルタントとして活動している橋本敦也さん(仮名)だ。

「コロナ以前から、パチンコ業界はシュリンクしていました。そもそも若者のギャンブル離れなどで遊技人口が減っているなか、内規改定による射幸性の低下、人気パチスロ機の撤去などで客足が遠のき、さらにこの4月からの改正健康増進法で店内は原則禁煙になるなど、マイナス要素ばかり。そうした苦境に、コロナが襲いかかったという状況です」

※写真はイメージです ©iStock.com

自粛緩和後も厳しい現実

 とはいえ、今回の騒動では、非難を浴びても店に集う熱心なファンがまだたくさんいるように見え、自粛緩和後はすぐに以前のような賑わいが戻りそうに思える。

「確かに、一時的に客足が増えると思います。しかし、多くの店が休業でマイナスになった分を取り戻そうと、いわゆる『回収営業』をするので、思うように勝てないお客さんは資金が持たずに飛んでしまう。10万円の給付金も、今回ばかりはパチンコ業界に流れてこないかもしれないですね」

 客足が遠のくと、パチンコ店も追いつめられていく。

「大手チェーンは不動産収入などもあって持ちこたえられますが、中規模チェーンが苦しいでしょうね。夏ごろには資金繰りが悪化して倒産する店も出てくると思います。小規模店舗はそこでこぼれたお客さんを拾っていく戦略になるでしょうね」