赤羽駅前から続く商店街を抜けた先に青猫書房はある。

 赤羽に新しく子どもの本の専門店ができたと本好きの友人から聞いた。東京の北の端、駅周辺は大衆的な飲み屋街で賑わう赤羽に、子どもの本の専門店というのが少なからずギャップが感じられ、取材にうかがうことにした。赤羽駅からは、商店街を抜けた先、徒歩10分ほどの静かな住宅街の中に青猫書房はあった。駅から少し離れているのと、大通りから少し入ったところなので、見つけづらい、地元の方以外はあまり人通りのないところにひっそりと建っている。最近の建築技術の進化と規制緩和によって建てられるようになったという木造4階建て、白を基調にした美しい建物の1階部分だ。

住宅街にひっそりと建つ青猫書房。

 木の温もりが感じられる店内には、広い窓から梅雨明けの明るい光が射し込む。木製のベンチが壁際に並び、ゆったりとスペースを取った贅沢な空間。フェアの陳列棚は低く、子どもの目線で作られている。窓から見える緑と窓枠の木の色が、白い壁とやわらかいコントラストを作っている。店の奥には庭に面したイベントスペースがあって、普段はお茶も飲める。店主の岩瀬惠子さんによると、2014年12月にオープンしたこの空間は、最初から子どもの本の店を作るために設計されたものという。

開口部が広く、外光を取り入れた店内。
木の温もりが感じられる調度。

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